調教-1
朝からずっと握りしめているリモコンが、汗でじっとりと濡れている。
その出力をじわじわと高めながら、川瀬昭彦は数メートル向こうで接客している藤本あいりの表情を注意深く観察していた。
彼女の下半身を翻弄する淫猥な蠢き。
その強さが一定のレベルを越えた時、あいりの呼吸が急激に乱れ、頬が不自然に紅潮し始めた。
その苦悶の表情に、川瀬はニヤリと口角をあげる。
真面目な優等生である彼女が淫乱なケモノに変貌していく美しくも哀しい姿。
まさにこの一瞬、川瀬は「藤本あいりを支配している」という「錯覚」に浸ることが出来るのだ。
永遠に寄せては返す波のように、川瀬の欲望のまま繰り返される緩い刺激のリズム。
数時間に渡ってその拷問を与え続けられたあいりの秘部は、今どれほどまでにはしたなくひくつき、じゅくじゅくと濡れているのだろうか――――。
清潔感漂う凜とした制服姿。
そのスカートの下では今、想像を絶する卑猥な調教が実行されている。
陰部をぴったりと覆う黒いラバーの貞操帯。
その股間部分には堅牢な鍵がかけられ、内側に取り付けられた二本のグロテスクな張り型が、ヴァギナと肛門をこじ開けて深々とあいりの下半身に突き刺ささっている。
川瀬がリモコンを操作する度に、その凶器があいりの体内でうねうねと暴れ狂い、強制的に開きっぱなしにさせられている前後の穴に強烈な圧迫感を与えてくるのだ。
心身ともに川瀬に常にコントロールされ続けているような被虐感の中、繰り返し襲い掛かる狂おしい快楽の波。
ひっきりなしに襲ってくる予測できない刺激のリズムが、あいりの精神と肉体を少しずつ蝕んでいた。
「……こ…こちらのお色が…っ…人気がございまして……んっ」
急にたどたどしくなったその口調に不信感を抱いたのか、接客を受けていた中年男性が、商品の品定めをやめて思わずあいりの顔を見た。
「………す…すみません……あの…あっ…あっ……」
慌てて咳ばらいをしながらも、強引に与えられる暴力的な刺激には逆らうことが出来ず、あいりは什器に両手をついて身体を震わせ始めた。
「…ん…んっ…」
自分で陰部に触れることが出来ない状態のまま、今朝からまだ一度もイくことを許されていない肉体には、鬱々とした性欲が蓄積されているはずだ。
「……んんっ…ハアッ…ハアッ……あっ……」
あいりの口から湿りを帯びた甘いため息が漏れた。
客の手前、必死で平静を保とうとするのだが、今にもしゃがみ込みそうになるのをこらえるのが精一杯で、身体は無意識に尻をつきだすようなポーズをとってしまっている。
ヒップを震わせ、顔を上気させながら、せりあがってくる快感を懸命にこらえているあいりの表情は、たまらなく淫靡に見えた。
「……君…大丈夫?」
中年男性が心配そうにあいりの顔を覗き込んだ。
デパートの客らしく身なりのいい上品な雰囲気の紳士だが、その表情にはすでに好色そうなオスの好奇心がじわりとにじみ出ている。
匂いたつようなメスのフェロモンを本能で感じとったのか、あいりが「単に体調がすぐれない」という状態ではないことに薄々気付き始めているのだ。