罠-3
『……嘘……』
認めたくない………。
間違いであってほしい……。
ギュッと目をつむって祈った時、その男の声が聞こえた。
「……下着……つけてないんですか……」
聞き覚えのある少しハスキーな関西なまり………。
一瞬にして全身に鳥肌が立った。
『三田村くん――――』
頭を殴られたようなショックで、急に呼吸が苦しくなる。
怯えながら再び覗いた什器の隙間から三田村の横顔がはっきりと見えた。
その唇には、理可との激しい接吻を想像させる赤い口紅がべったりとこびりついている。
けばけばしいその痕跡が、あいりの胸をキリキリと切なく締め上げた。
三田村は理可の長い脚に自分の脚を絡ませながら、手の平で豊かな乳房をわしづかみ、強く揉んでいる。
その変形した柔肉の先端は、花開く直前のバラの蕾のようにぷっくりと膨れあがり、三田村の唾液でぬらぬらと光っていた。
更に三田村はもう一方の手をスカートの中に差し入れ、ゆっくりと円を描くように理可の陰部を撫で回している。
その動きにあわせて理可の腰がぴくりぴくりと軽く上下していた。
「……あっ……んん……」
漏れ聞こえてくる溜め息のような喘ぎ声から、理可の激しい興奮と快感が伝わってくる。
『――――どうして?』
三田村には大阪に結婚を約束した相手がいると聞いている――とても大切にしていると――。
彼が真っ直ぐで一途な男だとわかっているからこそ、あいりは自分の気持ちを三田村に決して明かすまいと心に決めていたのだ。
―――それなのに、何故石原理可と―――?
頭を殴られたようなショックで全身がガタガタと震えている。
目の前で理可の身体をまさぐる三田村は、あいりの知っている三田村とは別人のように見えた。