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誰も書かなかった中国人農業研修生の話
【ノンフィクション その他小説】

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カレーライスの話-1

日によっては、研修生が8名以上が教室にやってくる事もあった。
昼食時間には、お寿司などを近くのスーパーから、買ってきて振舞った、汚く食べる者、綺麗に日本人のように食べる者、様々だった。
汚く食べる者は、おそらく、米粒をあまり食べた事がないのだろう、彼らの「美味しい」の言葉に、彼らの口に合うことを確認する。
たまの食事も、人数が増えると結構財布に響く、海外からの訪問者には決して、高いものは振舞わない、
日本の普通の食事で充分であると思っている。
経験から、ロシア人・タイ人・中国人・シンガポール人だれが来ても、我が家の海外からの来客への食事の定番はこれである。
コロッケ・卵トーフ・かまぼこ・イナリずし・マヨネーズでのサラダ。(ロシア人にはイナリずしが好評・・ハポンスキー・ピロシキ・とは日本を包むという意味)

海外からのお客に何が食べたいと聞くと、必ず寿司・天ぷら・すき焼き・刺身と答える、日本人がタイへ行くとトムヤンクンと答える事と同じで、その料理を食べたいのではなく、それしか日本料理を知らないだけである。(そう信じないと空っぽな財布がもたない)。

その日はカレーライスが昼食であった、牡丹江からの研修生は、驚くことに初めてカレーを見たのであった。
カレーとコロッケは、彼らが初めて食べた料理であった、上海などのスーパーではカレーのルーが当たり前のように並ぶ、友人に聞いても上海ではカレーを当たり前のように食べるという。
やはり中国は広い・・・
シンガポール人はマヨネーズ・ロシア人はわさび。
などなど、国によって初めて見る日本の調味料は私にとって意外性がある。

研修生たちは、帰国が近い日に、カレールーを故郷への土産とするため大量に買い込んでいた。
そして、多少面倒なコロッケの作り方も書きとめていた(パン粉は余った干せた万頭で代用する事も発案)。
カレーライスの作り方が意外に簡単で、故郷にある材料で、簡単に作れる日本の味を、故郷で家族に振舞うのだろう。

確かに牡丹江は、ロシアへは近くとも、インドには遠い。
こうしてインドから日本へ伝わったカレーは、私の財布が空だったからこそ、中国の内陸へ伝わり、干せた万頭もパン粉と変身しコロッケとなった。
中国内陸の食文化を変えた、偉大な貧乏人が私である。・・とはならないだろう


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