官能の城(5)-2
城中で繰り返される狂態が、
そのままこの国のある処にも蔓延しているのです。
人の心は堕落した世界を好み、それは正常な精神までも次第に蝕んでいるようです。
それが肉体と享楽の世界を憶えた人々とっては、
なかなか変えられない麻薬のようなものかも知れません。
どの世にも、そう言った享楽と愛欲に身を委ねて、
一時の官能の渦の中で生きている人々はいるものです。
今それが彼女達自身が招いた数々の不徳の結果なのかも知れません。
今その屋敷の中では賊達に金目の物は奪われ、
怯える母親とその娘は、賊達に破廉恥な行為で蹂躙されようとしているのです。
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その屋敷に押し入った賊達は物的な欲望を満たすと、
今度は、その穂先を享楽を貪るその屋敷に住む母親と娘に向けてきたのです。
彼等の中には昔この国で闘った戦士達もいました。
その者達の中では戦果で働きに見合った評価がされず、
一部の者や、王に上手に取り繕ったりした者達だけが優遇されていましたが、
彼等はそれを嫌い、彼等とは一線を画していたのです。
そして彼等は野に下り、
いつしか強盗団に成り下がっていたのです。
彼等は風のように何処とも無く現れ、財宝、宝石、金品等を強奪し、
人々を恐怖におののかせて、又風のように去っていくのです。
顔に黒い布で覆い眼だけを開けたマスクを付け、
馬に乗って金品などを強奪し、
背中に掛けた袋に戦利品を入れ、風と共に何処とも無く消えていくのです。
時にはその中に紛れて強欲に女達を犯す者もいました。
その男達に混じって強奪の中にいる女も何人かはいるようです。
女達の中には、かっては浚われ陵辱された女もいましたが、
いつしかその男達の女として手懐けられ、
その肉体と心も従属させられ行動を共にしているのです。
彼等は、色々な甘い恩恵を受けている貴族や驕奢な営みをしている者達を狙い、
そんな贅沢な生活している彼等の屋敷を襲い、
金品や財宝などを奪っていたのです。
富と、飽くことのない性の享楽でうつつを抜かしている貴族の女を見ると、
その女を浚ったり犯したりして、彼等の性的な欲求を満たしていましたが、
それでも普通の女を決して凌辱することはありませんでした。
それは唯一彼等の心意気かも知れません。