今のままで...-6
その日の夜、私達は同じベッドに寝転がっていた。
「ねぇ理彩...さっきお母さんが理彩が友達を連れて来るの珍しいって言ってたけど....」
「小さい頃は直輝がよく遊びに来たけど、最近は外で会ってたから....」
正直言って友達が家に泊まりに来たのは美咲が初めてだ....小さい頃の直輝を除けば....泊まりに行った事も無かった....学校で一緒に騒いだり、遊びに行ったりした友達は何人もいたけど....お互いの家を行き来する事は無かった....家が離れていたせいもあるが、どこか心を開け無い自分がいた....私が心を開ける唯一の存在それが直輝だった....先月直輝が言った冗談が....私の中で直輝という存在を変えてしまった....幼なじみ....それまでは本当にそれだけだった....しかし今では....直輝の事が気になって仕方ないのである....そんな時思い浮かんだのが美咲だった....美咲になら....仲良くなって3ヶ月半だけど....いつの間にか心を開ける存在になっていた....
「美咲はやっぱり和哉と内側で踊るの?」
「どうかなぁ?和哉に聞いてみないとわからないけど....なんか恥ずかしくて....」
学校祭の恒例のイベントで二日目の最後に全員でフォークダンスを踊る事になっている。学年クラスに関係無くランダムに全員で踊るのである。体育祭で踊る他愛ないものだが、体育祭の時と違うのが、二重の輪の内側ではパートナーチェンジを行わないところだ。同じ相手とずっと踊っていられるのである。外側の輪ではパートナーチェンジを行うので、彼氏彼女がいる者はカップルで内側で踊る事が多い。中にはふざけて男同士女同士で踊る者もいる....本気で同性愛に走っている者がいるという噂が無い訳では無いが....
「理彩はどうするの?」
「外側に決まっているでしょう!相手がいないんだから....」
「何言ってるの!直輝君がいるでしょう!」
「なんでそこで直輝が出て来るのよ!」
「なんでって....好きなんしょ!直輝君の事が!」
私は言葉に詰まってしまった....
「やっぱりそうなんだ...理彩って....以外と可愛い所があるんだね....顔真っ赤だよ!」
「美咲のバカ.....」
私は恥ずかしくて布団を頭からかぶった。
「ゴメン...理彩....相談したい事って....もしかして.....」
私は布団から顔を出して小さく頷いた。
「何かあったの?直輝君と...」
「....好きって言われた....」
「それなら悩む事無いじゃないの!素直に私も好きって言えばいいだけじゃないの!」
「....それが.....直輝の告白を冗談にしちゃったから....」
「えっ?」
「直輝も.....直輝も悪いんだからね!」
「どうして?」
「だって....冗談っぽく言うから...本気だと思わなかったんだもん....」
「理彩?」
「それに...その時はまだ...直輝の事が好きだって気付いていなかったから....」
「どういう事?」
「あのね....」
私は直輝に冗談っぽく告白された時の事を話した。
「それじゃぁ理彩のほうから告ったら?」
「絶対ムリ!!」
「どうして?」
「だぁってぇ....今更どんな顔をして告れっていうのよ....」
「直輝君の事が好きなんでしょ?」
私は小さく頷いた。
「好きなら告ったほうがいいと思うよ!直輝君だってきっと理彩の事....」
「そんな事無いよ!あの時だってきっと冗談だったんだよ!だからあんな風に....」
「理彩....あのね直輝君は....」
「私は美咲みたいに可愛く無いし...女の子っぽくも無い....だから...きっとダメだよ....」
「あのね直輝君は...」
「やっぱり今のままが一番いいんだよ!意識しないでバカな事言い合っている関係で....」
「理彩...本当にそれでいいの?」
「うん...ゴメンね....相談したい事あるって来てもらったのに....」
「いいよ別に...」
それから私達は夜遅くまで喋っていた