猫蜘蛛?蜘蛛猫??-1
お寺への帰り道。
「では…当面の間は学校が終わったら、おいで下さい」
まるで夕焼け小焼けの帰り道。
夕陽に照らし出された鵬蓮さんの横顔、とっても綺麗。
「うん!!」
そんな鵬蓮さんに毎日来いと言われたら。
両頬が弛まない訳がない。
「ただ毎回、治癒回復の儀は行いませんよ」
前を見たままクールに釘を刺してくる鵬蓮さん。
治癒回復の儀。
例のアレだよねぇ。
えぇっ!?毎回ないのぉ!?
なんて思わずガックシ…。
って感じの僕。
けど…あんまり残念がってるのもお菊ちゃんに悪いし。
まぁ…仕方ないかぁ。
して…お寺に着いたらさ。
「タァァァーッ」
「まだ!まだぁ!」
まだ猛訓練中のお菊ちゃんと貞ちゃん。
え!?
ってか!!
チョイチョイ本気の一撃がお互いに決まってるんだけど。
あ…二人とも幽霊さんだからダメージは受けないのか。
……にしても。
すごっ。
こりゃ…本当にお菊ちゃんを怒らせたらマズいぞ。
「じゃ…じゃあ…僕、帰るね」
及び腰の僕。
訓練に勤しむお二人さんにオドオド声を掛けると。
本堂よりソロソロと後退り。
とその時。
「俊樹さん…これっ」
時折、見せるラフな鵬蓮さん。
僕に何か放ってきた。
普段は丁寧な感じなだけにこのラフさはまた何とも…。
なんて思ってるばーいじゃない。
「わっ!わ!わっ!」
放物線を描いて飛んでくる黒い塊を。
ファンブルしながらも何とか両手でキャッチする僕。
これは?
あっ!スマホだ!
ラッキー!!
「なに!?なに!?くれんの!!」
新品のスマホに目を輝かしちゃう僕。
やっぱねぇ。
僕だって今どきの男子高校生。
スマホとかに興味がない訳ないじゃない。
「私たちとの連絡用にお使い下さい、特別製です」
そんな僕をクスクスと笑う鵬蓮さん。
「まじぃ!?やったぁ!」
早速、電源を入れるけど。
あれ?スクリーン暗いまんま。
今の衝撃で早くも壊れたの?
「あ…あの、これ…」
壊しちゃったと冷や汗タラタラの僕。
けど…。
「ですから特別製ですよ、必要な時は必ず使えます」
クスクスと笑ってる鵬蓮さん。