猫蜘蛛?蜘蛛猫??-3
そしてその日。
学校が終わるとね。
例のスマホが…。
『超超超♪いい感じ♪超超超超いい感じ♪』
わ!ドリームモー娘。
鵬蓮さんってモー娘。世代だもんねぇ。
なんてニタニタしながらスマホを取り出すと。
あっ!画面が生きてるけど…。
鼻の穴と口のアップだ。
なんだこれは!?
「俊樹さま、お聞きになっておられますか?」
その口からの声がスマホを介して…。
この口と鼻の穴はお菊ちゃんのよーだ。
「お菊ちゃん…もっと離しても大丈夫だって」
その声は貞ちゃん。
どアップのお菊ちゃんの脇から覗き込んでる。
……………。
この二人は何を遊んでいるんだろう?
ちょっと唖然の僕。
けど…凄いなこのスマホ。
てか…お菊ちゃんのこういう小ボケは妙に可愛いぞ。
「どーしたの?」
多分、向こうのスクリーンには僕が映ってんだろうな。
満面の笑みで応える僕。
「こ…こうでございますか?」
これは多分、貞ちゃんとの会話。
そして画面が引いてって。
わぁ…お菊ちゃん。
すっごく緊張してるみたい。
例のベソをかいているみたいな瞳でこっちをジッと見つめてる。
その横には顔を寄せるようにして覗き込む貞ちゃん。
顔半分はフレームの外だけど。
けど…いいな。
このツーショット。
待ち受けにしたいくらいだよぉ。
なんて目尻の弛みっぱなしの僕。
その僕に。
「鵬蓮さまがお呼びになっておられます、よって今から転送のてすとなる物を行いたいと思うのですが」
人生初であろうテレビ電話での会話に緊張しっぱなしのお菊ちゃん。
ホントに可愛いよね。
そのお菊ちゃんの言葉だもん。
『転送のてすと』って何すんだろう?って思いながらも。
「うん!いいよぉ!」
満面の笑みでイチも二もなく答える僕。
したら。
お!今度は貞ちゃんが…。
「そしたら…俊樹…そのスマホを握って目を瞑って」
貞ちゃんもスマホとかは世代じゃないとは思うんだけど。
やっぱより近代を生きていたから。
順応性が高いのかなぁ…なんて考えながら。
「こお?」
スマホを両手で握ると両目を瞑る僕。
したら…。
キィィィーンってする耳鳴り。
わぁぁ!身体がグワングワン揺れてるぅ!
『目は開いちゃダメよ』
脳内に響く貞ちゃんの声。
ってか!目なんか開けないって!
なんだ!この地面に押し付けられるよーすっごいG。
耳鳴りはドンドン酷くなるし。
わぁぁぁ!なんか上へ上へと吸い上げられるみたいだ!
すっごいスピードでピューって吸われるみたいだぁ!
てかさぁ!身体がバラバラになりそーだ。
うほぉ!前も後ろも上も下も判んない!
なんだこの絶叫系アトラクションはぁ!
うぅぅぅ…キボヂわるいよぉぉぉ。
不意に全ての感覚が静まり返った。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒い息をついて両目を硬く閉じたまま立ち尽くす僕。
し…死ぬかと思った。