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冥界の遁走曲
【ファンタジー その他小説】

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冥界の遁走曲(フーガ)〜第一章(前編)〜-11

11 「どうやら、奴がここに来たらしいぜ、楓。」
オールバックの髪型をした長身の男が隣りに歩いている少女に話しかける。
「まさかとは思うけど、いきなりケンカふっかける気じゃないでしょうね、龍也?」
茶色のショートカットヘアの比較的小柄な少女が隣りの長身男に尋ねる。
「当たり前だろ!?俺がそんな事するはずがねぇ。」
そう言って男、龍也はタバコを取り出す。
「俺の気が済むまで殴りあう!」
殴られた。
楓によって、しかも後頭部をゲンコツで、だ。
龍也は勢いで前にコケた。
「同じでしょうが!この単細胞バカ!!」
「ツッコみにしてはちょっとヒドすぎね?」
楓はう〜ん…、としばらく考え込んでから、
「まぁ、あんたならこれくらいじゃないとダメでしょ?」
と言って、龍也を放っておいて歩き始める。
「ちょっと待ってよ…」
龍也は急いで起き上がって楓に追いつく。
「でも、まぁ、試しておく価値はありそうよね?」
そういいながら2人は商店街を歩いていく…。

 

第三部 「『戒』の任務」

闘夜と癒姫は商店街に来ていた。
闘夜の視界には地上となんら変わりない風景が並んでいる。
…地上の商店街と一緒だ…。
そこにはやはり、いろいろな物が売られていた。
テレビ、カメラ、パソコン等の電化製品を取り扱っている電化製品屋もある。
キャベツ、トマト、玉ねぎ、ニンジン等を売っている食べ物の路上販売屋もある。
ショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ等を売っているケーキ屋もある。
いろいろな店が道の両側に沿って並んでいる。
「どうですか?神無月さん。」
「いいところだな、ここらへんは地上と全然変わらないな。」
冥界を実際に歩くとなると、多少のカルチャーギャップは覚悟しておこうと思っていたが、この様子だとその心配もなさそうである。
「お前は普段、どういう店に行くんだ?」
「え?」
癒姫は突然慌てだす。
何か聞いてはいけないような事があっただろうか?
「私は、普段は商店街には来ないんです。
子供の頃に何度か来ただけで…」
「じゃあさ、一緒にどんな店があるか、見て回るか?」
「はい♪」
癒姫は満面の笑顔で言った。
そのときの癒姫の顔は闘夜の頬を少し赤くさせた。
「?どうしましたか?」
「あ、いや、何でもない。行こうか?」
「はい♪」
2人は商店街の奥に向かって歩いていく。



その頃、『ガヴァメント』では1人の男が必死にドアを叩いていた。
叩いているドアには『一神 玄武』と書いてある。
ここは『死神』の個室である。
そのドアから1人の老人が出てきた。
「どうした?」
ゆっくりと、しかし威厳のある声がガヴァメントの廊下に響く。
男はそのその声に慄きながら、
「し、四神(よつがみ)様が…アキレス=ファナティクによって殺されました!」
「…それは緊急事態だな。」
老人、玄武はあくまでもゆっくりとした口調で言った。
「そして現在、アキレス=ファナティクは部下達と共にガヴァメントへと向かっているようです!」
「なるほど。」
老人は顎に手を当てて、少し考える。
そして、
「分かった、『戒』を出動させるよう、連絡班に伝えてくれ。」
「何名出動ですか?」
「今、何名残っているのだ?」
「現在残っているのは戦闘兵10人、特攻隊長1人、特攻副隊長が1人です。」
「ふむ…。」
玄武は再び考える。
「特攻隊長と特攻服隊長、それと戦闘兵である『一神 癒姫』に出動命令を出してくれ。」
「りょ、了解しました!」
男はすぐさま立ち去る。
玄武はそれを見送った後、部屋に戻る。
「癒姫、お前の力、見せてもらうぞ。」
そう言うと、玄武は商店街にいる闘夜と癒姫の姿を映している水晶玉に目を向けた。


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