SM地獄(2)-8
(どうして私は濡れるの?こんな酷いことをされているのに、どうして?)
思えば思うほど、自分の存在が疎ましくなり、死にたくなる。
死んで、こんな屈辱から逃れたい・・
しかし、それはできない。
できない理由があるからである。
その理由以外にも、彼女自身でもうその被虐性に染まり始めていた。
「おやおや、こんなに床を濡らしちゃって、駄目なメス犬だな、母さんは」
冷たい裕次の声を聞き、二人の行為を見て由紀恵は現実に引き戻される。
「あぁ、すみません、裕次さん」
由紀恵は思わず声を出した。
「あ・・あの、わたしがここをお掃除します、裕次様、よろしいでしょうか」
「いや大丈夫だよ、粗相をしたメス犬に舐めさせますから、そうだね、母さん」
「あ、はい・・」
喜美子はそう言うと、四つん這いになり床にこぼした尿を舐め始めた。
彼女は床に顔をつけ、彼女が漏らした尿で濡れた床を舌で舐めたのである。
その姿は、犬がこぼしたミルクを舐めるようだった。
由紀恵が驚いたのは、それだけではなかった。
その喜美子の頭を、いきなり裕次のスリッパが踏みつけたのだ。
(ぎゃっ!)喜美子が叫んだ。
頭を床に押し付けられた美しい喜美子の顔が汚れ、歪んで唇が切れた。