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SM地獄
【その他 官能小説】

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SM地獄(1)-1

その日の小野原家の夕方のキッチンでは、
家政婦の由紀恵が、忙しく一人で料理を作っていた。
程よい冷房は効いているのだが、彼女の額には既に汗が滲んでいる。

家の主人から、スタミナが付き、美味しい料理を作るようにと
言われていたし、彼女は料理が得意でその自信はあった。

調理をしながらも彼女の胸は高鳴り、ドキドキとしていた。
それは、食事の後に行われる、
何やら妖しげなセレモニーがあると聞かされているからである。
何故かというと、
それにも彼女も参加するように、と言われていたのだ。
高ぶる気持ちを抑えながら、どうしてもそれが気になっていた。

それというのも、何故かこの家の雰囲気が普通の家庭と違っているからである。
よそよそしい、と言うか、妖しげというか、
とにかくこの家の家族には何かがある、と感じていた。
しかし、後でそれは的中することになるのだが。

いつもの夕食時と違って、その日は特別だった。
特別日は月に一回の時もあれば、三、四回や連続して行われるときもあるらしい。
気になるセレモニーの内容は分からない、それがどんな事なのかは聞かされていない。

しかし、今までの家族の様子を見れば、それがどんなものかは、
或る程度は彼女なりに想像はするのだが、見当が付かないでいた。
それは、この家の(奇想天外で破廉恥な儀式)のことであるが、
次第にそれは明るみになってくる。

彼女はその日の為に、
前の晩から用意するように言われていた献立を考えてあった。
いつもその行為が行われる前の日に知らされるようである。
それは、この家の家族三人の為に特別料理を作るのが、
由紀恵の本来の仕事でもあるからだ。

繰り広げられる破廉恥な行為を継続する為に、
この家の家族にスタミナを付ける特別料理である。

キッチンのテーブルにはその材料がぎっしりと置いてあった。
牛肉、ニラレバ、豚キムチやスッポン、またシャンペン等の飲み物、等々
更に栄養補給の為のドリンク剤等もある。

彼女は或る人からの紹介で、この家の家政婦になったのだが、
採用の条件が変わっていた。それはとてつもない好条件だからだ。

彼女にとって、それは今までの数倍ほどの報酬になると聞かされていた。
しかし、採用されたら絶対に、
その家で見たことを口外してはいけないという厳命である。
由紀恵がその家に来てからは、彼女の運命の歯車が狂い始める。

この家の家族の人達は普通ではなかった、
それは一般的な世間の常識を逸したその数々の行為である。


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