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『縛られた女』
【SM 官能小説】

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『縛られた女』-2

2. 居場所としての責め絵

女と男はふとしたことで知り合ったのだが、偶然街でばったり再会したことをきっかけに親しくなり、互いに惹かれ合うものがあり逢瀬を重ねているうちにいつしか深みにはまり、互いの性癖を打ち明け合ってSとMとして、濃密な関係を結ぶようになっていった。

しかし、女は結婚したての一流商社員の妻、男は貧乏な画学生であったので、2人ともいずれ相手と結婚しようとは考えず、互いにSMのセフレとしてだけ付き合うことで了解していた。

だが、SMのセフレとして付き合いだして1年ほど経ったとき、女が夫の海外への長期赴任についていかなくてはならなくなり、どうしても別れなくてはならなくなってしまったのだ。

「お別れしなければならなくなって初めて気がついたんだけど、あなたはMである本当の私の居場所になってくれていたの。
行くのをやめてお別れしないようにすることはできないんだけど、今後はその居場所がなくなってしまうのは、とても辛いわ」
男に海外へ行かなければならなくなったと告げた日、女は泣きながらそういって男に訴えた。

「うーん、…」
男は、少しの間考え込んだ。

そして、ポツリといった。
「僕が、君の責め絵を描いて、それを君にあげるよ。
僕の渾身の力を込めて、カンバスに責められて悦ぶ本当の君を写し取るよ。
そしてその責め絵を持っていれば、君はカンバスを居場所にしている本当の君を、いつでも確認できるだろう?」

「うわあ、嬉しい!なんて素敵なこと考えてくれたの!
描いて!私の責め絵を描いて!
今までしてもらったことのないキツイ責めをしてもらって、それを責め絵に写し取ってもらえれば、Mである本当の私はいつでもその責め絵の中に、居場所を持ち続けることができるわ」
女はそういって、男に抱きついた。

そうしてこの日、別れの日を迎え、男が女を逆海老に縛って責め、それにより発現されるMである女の本当の姿を、責め絵に写し取って残すことになったのだ。

「さて、この責め絵のタイトルは、何がいいかな?
君が決めたらどう?」
「ありがとう。でもちょっと難しいわ。
だって、すごく生々しく本当の私が描かれているんですもの。
恥ずかしくて、タイトルはつけられないわ。
やっぱり、あなたが決めて」

「うーん、そうかあ!
それじゃあ、そのまま過ぎるかもしれないけど、こうしようか。
こうなっているときに、君は本当の自分になっているのだから…」
そういって男は、その絵のタイトルをのカンバスの裏に書き込み、女に見せた。
女は満足そうに、大きくうなずいた。




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