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『縛られた女』
【SM 官能小説】

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『縛られた女』-3

3. USBメモリーのパスワード

それから、十数年の歳月が流れた。

帰国子女で高校2年になった潮田真由は、自室でパソコンに向かって考え込んでいた。

真由は外国で生まれ、小中学校のほとんどを現地の日本人学校に通い、中3のとき両親とともに帰国し日本の中学校に編入した。
ところが帰国して中学校に編入した数ヵ月後、突然母が自殺してしまったのだ。

遺書は残されておらず、真由も真由の父も周囲のだれもが、どうして自殺をしたのかさっぱりわからなかった。
ただ、真由がちょっと驚いたのは、編入した中学校で担任となった美術教師の佐々木正哉が、憔悴しきった沈痛な表情で通夜に訪れ、ずいぶんと丁寧にお悔やみを述べたことだ。

そのときは戸惑ったが、佐々木はその後も帰国子女で浮き上がりがちだった真由が、早くクラスに溶け込めるようにと親身になっていろいろ取り計らってくれたおかげで、いじめに遭うこともなく無事卒業し希望の高校にも進学でき、心から信頼しそれが慕う気持をどんどん高めていったので、奇異な印象は日に日に薄れていった。
そして、高校に入ってからは友達と連れ立って何回か佐々木の家に遊びに行き、若いころに描いたという絵を、何点か見せてもらったりもした。

「ああ、これもダメ、やっぱりわかんない!」
そういって由香は、パソコンのUSBメモリーを開く画面を閉じた。

このUSBメモリーは、母の美有希が使っていた鏡台の抽斗から死後に見つけたもので、ひょっとしたら自殺の原因の手がかりが得られるかもしれないと思っているのだが、パスワードが設定されていて、それがわからないので中のファイルを開いて見ることができないのだ。

手持無沙汰になった真由は、インターネットに接続しこのところ病みつきになってのぞいている、あるサイトを開いた。
そのサイトには、裸で緊縛された女性の画像がたくさん載っており、2,3日に1回新しい画像が何枚か追加されていた。
真由は、それらの画像を見ることで異常なほど昂奮する自分を発見し、近頃では自分はマゾなのかもしれないと思い始めていたのだった。

由香は女性の緊縛画像を次から次へと出していき、同時にスカートをまさぐって片手をショーツの中に突っ込み、オナニーを始めた。

(こんなことしてるの、ママにばれたら大変だよね。
でもママだってこのメモリーの中に、何か秘密を隠しているかもしれないんだから、私もママに内緒の秘密をもっていたって、おアイコだよね)

そう心で思った時、由香の頭の中にある言葉が閃いた。

「うん、ダメで元々だから、この言葉でもう1度やってみようか」
そう独り言を言うと由香はオナニーをやめ、再度USBメモリーを開く画面に戻し、今思いついた言葉をパスワードとして入力し、クリックしてみた。

するとパソコンの画面が変わり、USBメモリーに入っているファイルの名前が、アイコンで表示された。





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