Purple ecstasy-4
―――今回彼がこのビサイド島にやってきたのは、
約1か月にわたって過酷な砂漠地帯を巡りに巡って仕事した際に疲労した身体を癒すため。
ビサイド島を選んだのは、この島が南の海に浮かぶ多数の島の中でリゾート化途上であり、
騒がしい観光客に接することもなく、
ゆっくり南の島と海を満喫できると考えたからだ。
もっともラグナの予想以上に観光客が多かったのは意外だったが。
そして彼が宿泊するスピラホテルは、
島に3つしかないホテルの中で1番であり、市街地の郊外にあるということもあって、
人混みを極力避けて1人きりの休暇を満喫しようとするラグナにとっては、
最高の立地条件を持っていたのだ―――――
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――――ホテルのフロント
「―――ラグナ=レファール様ですね。404号室になります。こちらのカードキーをご利用ください」
「ありがとう」
到着したホテルのロビーで部屋入り口のカードキーを受けとると、
ラグナは自分の荷物をポーターに預けることなく、
そのままエレベーターに乗り込んだ。
―――ウイィィ・・・・ン
―――チィィン
「・・・・・」
無機質な機械音を耳にしている間もラグナはずっと無言だった。
指定の階でエレベーターが止まり、そのまま廊下に出る。
部屋は比較的エレベーターに近い場所にあり、与えられたカードキーで自分の部屋の入り口を開いた瞬間、
ラグナは思わず声ならぬ声をあげていた。
「ほうっ・・・・・」
そこには今までの薄暗い雰囲気を一掃するかのような眩しい日光と真っ青な海と空が全面に広がっていた。