Purple ecstasy-14
§§§§§§§§§§§§
―――それから2人は気楽な雰囲気の中で互いの境遇を語り合った。
そのおかげでラグナ自身もルールーという女性について、その人となりを知ることができた。
昼間つけていた指輪の通り、
彼女はここ数ヵ月前に結婚したばかりだという。
相手の男の名はワッカ。
空港でルールーその他の人々に見送られていた背が低くがっしりした金髪の男。(一見ルールーとは不釣り合いだとも思えるのだが)
今日から3日間、フリッツというスポーツの選手として大陸の方に遠征に出掛けたという。
新婚仕立ての新妻をおいて遠出というのもどうかとは思ったが、
彼女自身独身時代に戻ったつもりで羽を伸ばすことにしたという。
昼間穴場である入り江で日光浴を楽しんでいたのも、その一貫というわけだ。
「・・・ワッカやユウナ、リュック(彼女達は見送りにいた女の子よ)は私にとっての戦友。
最近までこの島や大陸で戦争が続いていたでしょう?
無論私も参加して、こうして生き残ったの。
ワッカにプロポーズされたのは終戦直後。
今までつきあってきた男は彼で3人目。前の2人は戦争であっという間に死んじゃったわ・・・・」
酒が入っているため、普段は語らないであろう過去の話まで淡々と話す。
聞いているラグナとしてはテーマがテーマだけに聞き役に徹するしかない。
ただ彼女の思いを受け止めることで、2人の親密度が増していると考えるのは勝手な話だろうか。
「・・・貴方、今独身?」
「・・・以前結婚らしいことはしていたんだが、今は独身だ」
「恋人はいるの?」
「まぁ・・・いるというか、いないというか微妙なところかな」
「・・・私、久しぶりに何にも束縛されない時間を過ごせると思ったんだけど・・・でも無理だったわ」
「・・・なぜ?」
「あの入り江で、“男らしい男"に出逢ってしまったから・・・・」
途端に口をつぐみ、ラグナをまっすぐ見つめるルールー。
ラグナもルールーの瞳の中を覗きこむようにして見つめ返した。