〈美味なる者〉-3
『S県S市〇〇町××番地……』
『第二、第四の週末は両親不在……ホームセキュリティーはダミー……』
『て事は今週末は一人ぼっちか……』
『これはヤルしかありませんな!!』
長髪男のデータなら、まず間違いはない。
それは今までの奴の行動を見れば分かる事だし、あの性格からしても不確かな物を記録などはするまい。
間違いなく、今週末に紗季は無防備なままで過ごすのだ……セキュリティーが偽物だと知れた今、紗季を守る物など何一つ無いはずだ。
『やっぱり今週だよな…萌に飽きて、次は紗季ちゃんだって言われたら終わりだよ?』
そうだ……長髪男は紗季のデータの盗難を知らないし、素人の学園アイドルよりも本物のアイドルの方がイイに決まっている……急かされるように、襲撃計画は今週末に決定された。
『ところで、ドコで紗季ちゃんを姦るんだ?あの部屋は使えないぞ?』
確かに、いつも通りなら、あの部屋に監禁してしまえばイイが、今回はそうはいかない。
秘密裏に獲物を掠め取り、生意気な長髪男や首謀者の鼻を明かしてやる事に意義があるのだ。
とは言え、そんな急に都合よく廃屋など見つからないだろうし、自らの欲望を満たすとなると、確実に室内は精液や“牝の汁”で汚れてしまう……。
『……どうせ紗季ちゃんしか居ないんだ。紗季ちゃんの家でヤッちまおう』
簡単な答えが閃いた。
どうせ紗季を姦すのだ。
その部屋が汚れようが、後の事など知った事ではないはずだ。
好きなように姦し、無責任にヤリ棄てればイイだけの話じゃないか。
『決まりですな!じゃあ明日は思い切り萌を嬲って、心おきなく出発しましょう』
狂ったオヤジ達が行動を開始した……自分達の行動の結果が、如何なる結末を迎えるのかを一考に介せず、沸き上がる欲望のままに突き進む……遠い他県で暮らす紗季に、この狂気を知る術は無い………。