〈美味なる者〉-23
「むがあ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」
哀しすぎる悲鳴が部屋の空気を揺らした……その声は取り囲むオヤジ達の壁に遮られ、窓の外までは届かなかった……道路には引っ切りなしに自動車が行き交い、その騒音は小さな物音を掻き消していく……。
『か、可哀相にな……もっと暴れろ、もっと叫べ。誰か助けにくるかもしれないぞ………』
下半身が完全に繋がり、一つとなった二人……一人は地獄の責め苦に悶え、一人は極上の快楽に打ち震えている……紗季の渾身の悲鳴も抵抗も、オヤジの悦びへと変換されていく。
『大きな声で叫べよ。通行人が気付いてくれるかもよ?』
『ん?キモチイイから続けて欲しいの?』
「むぐぅ"!!んぶッ!!ぶう"ぅ"!!」
図らずもオヤジの腰使いにあわせ、紗季の悲鳴が部屋に響く。
その一定のリズムを刻む叫び声は、恋人同士が互いの愛の吐息に呼応しているかのようだ。
『ハアッ…ハアッ……イキそう………』
(!!!!)
紗季は、本能的に言葉の意味を理解した……女性としての最大の屈辱が押し付けられる事を………。
「もがッ!!お"があ"ッ!!あ"〜〜〜〜〜ッ!!!」
口を塞がれて、呼吸は鼻でしか行えない。
満足な酸素を取り込めない身体は、既に体力は尽きていた。
それでも紗季は可動可能な部位を動かし、無意味な抵抗を繰り返す。
卑怯な手段で淫虐な遊戯に至ったオヤジ達から逃れる事を、紗季は諦めようとはしていないのだ。
(誰か助けて!!ここに来てよぉ!!パパ……ママぁ!!!)
口の中に詰められたタオルを吐き出そうと舌で押し、頭を振り回して叫ぶ……しかし、唾液を含んだタオルは空気を遮断し、泡のように唾液がダラリと垂れるだけ。
『はふ!!……紗季…ちゃ…ん……』
「あぐぅ!?…ん"があ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ッ!!!!」
紗季の下腹部の中心が、ジリジリと焼けるほどに熱くなった……変態の遺伝子が、まだ未熟な子宮の内壁を侵蝕していった……。
『ふへ…へへ……ヤッてやったぞ……』
放心状態の紗季から、まだ余韻の残る肉棒を引き抜き、初めての性交の終えた紗季の姿を撮影していた。
満面の笑み……まともな人生を送っていたなら、決して味わえない快感……少女の意思など無視し、泣き叫ぶのも構わずに《種付け》を行う興奮……初体験を最悪なものにし、生涯消えない傷を刻み込んだ背徳の快楽に、オヤジは悶えるような高揚を覚えていた。
そしてそれは、他のオヤジ達も同じく感じていた。