ZERO-14
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「で、これからどうしたらいいかな……」
降りてすぐに整備士の香川さんに会ったがまるで要領を得ない。『裏側の人間』なんて話は聞いたこともないそうだ。ついでに伊丹さんと、隣にいた副操縦士にも訊いてみたが駄目だった。
「まあ、とりあえず服を調達しなきゃね。まさか飛行服で街中ウロウロする訳にはいかないっしょ」
そう言う彼女はさっさと上下ジーンズに着替え終わってる。
「そうだな……って金がないよ」
金か…。どこの世界でも俺は万年金欠病だ。
「大丈夫よ。さっきデーモンの子分墜としたじゃない」
「それがなにか?」
「賞金がもらえるのよ。さっき伊丹さんに証言書いてもらったから」
「そうか……」
賞金か。人を殺しておいて何だが、あれはラッキーだったかもな……。
都について空港の警察事務所に行き、手続きをする。
そういえば、何枚か書類を書いたのだが中国語でも書けるようになっていた。なぜ言語と文字がこっちでも一緒なんだろう……。
「2000目か……。割と上の方だったわね」
都が書類の賞金の欄を見て言う。
「『目』って金の単位かい?」
「そうね。えーと、ゼロ戦の中古が5000目くらいよ」
「へっ!?そんなにもらえるの?」
「まあこれでしばらくはお金に困ることも無いっしょ」
人生初の札束をポケットにねじ込んで、空港そばの百貨店で服を見繕ってもらう。北都の名前どうり夏でもさほど暑くはないので、ジーンズと薄手のシャツを選んだ。技術的に遅れてるこっちの世界だが、ファッションはそうでもないらしい。下手すりゃ和服も覚悟してたのだが。
「それじゃあお腹も空いたし、私の仲間の溜まり場があるからそこ行ってみるべ」
『溜まり場』って、なんか嫌な予感が………。