秘密-3
ふにゅん…て、今の、江口の…胸???
とても暖かくて柔らかいものが手の甲に当たった感触が残っている。
江口は急いでて気づかなかったみたいだけど…
「…なんだよ、ちょっとぶつかっただけだろーが」
こんなにドキドキするなんて、俺はガキかよ…
冷たい風に当たろうと思って窓を開けた。冷たい風が一気に流れこんできて、体が凄く熱くなっていたことに気づく。
「…あ。」
江口が理科室に向かって走って行くのが見えた。
持ちにくそうだなぁ〜。雑誌を落とさないように一生懸命走ってる姿が愛らしい。明日の分は紐で縛っててやるか。
ふと、机の所に目をやると、ハンカチが落ちているのに気づいた。ここは、図書委員の自分以外入らないから、江口のものだろうと察しがつく。
後で理科室行ってみるかな…
――――――
ていうか、江口は理科室なんかに何の用があるんだろう?相田とかってゆう先生の手伝いか?
江口は長く学級委員とかやってたから、今でも先生達からよく手伝いを頼まれたりしてるっけ。
…理科室には電気が着いてない。奥にある教官室の扉からは灯りがもれている。
そこにいるのか、江口?
中からは楽しそうに話をする江口の声と、ぼそぼそっと相田の声が聞こえてきた。
……「あっ、そういえば先生、私胸が大きくなりましたよ。」
??? 江口、今なんて…
「…では俺の観察と推測は外れてなかったというわけか。」
「そうかも…もうDのブラも狭いんですよ。」
「ほう。どれ、またサイズ測り直してみるか、こっちおいで。」
「…はい。……あっ、乱暴にしないで下さいね、……やぁんっ」
俺は走りだした。江口と先生の、それから先は知りたくもなかった。いや、江口のあの甘ったるい女の声を聞けば、何が始まるかわからない者はいない。
…くそっ、なんで相田なんだよ。相田って、女の子を弄んでるっていう先生だろ…
男たちは江口が男嫌いだと噂している。だけど、俺とはあんなに楽しそうに話をしてくれるじゃないか。少しは期待してたのにな…