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憎しみと愛、そしてセックス
【その他 官能小説】

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憎しみと愛、そしてセックス(1)-2

先程、庭にあった大好きな赤とピンク色の花の茎を切り、何本かを手に持って
花瓶に挿したその見事な薔薇を見ながら美紗子は思っていた。

(この薔薇のように、いつまでも美しく咲いていたいと思っても、
花達はこの薔薇のように切られて活けられてしまうのね、人間って残酷・・
だから、私はせめて生きているときだけでも、自分の人生ですもの、
楽しんで、自分らしく生きていたいわ・・悔いのない人生を、だから・・)

そう思うと、自分が切り取った薔薇なのに何故か、可哀想な気がした。
美紗子は疼く乳房を無意識で押さえていた。
あの時、吸われ、噛まれた乳首が、その痛さが甦ってくるのである。

美紗子は薔薇を見つめながら、
主婦仲間と入会して始めた短歌会での自分の作品を思い出していた。
その会は、殆どは主婦や時間を持て余した女性が多かった、
何故ならそれは、講習の時間帯が昼間だからかもしれない。


それは或る日、庭に咲いたあの薄いピンク色をした薔薇を詠んだ句だった。
(庭に出て 愛でし花達 手にとれば ピンクの花弁 色鮮やかに)

短歌を指導する先生は謙二郎と言い、その美紗子の作品を褒めてくれた。
彼は何故かいつも美紗子の作品には甘い。

他の生徒には、こんなに丁寧に指導はしないようである。
それを美紗子は知っていて、嬉しかった。
謙二郎は、美しい美紗子には或る感情を持っていた。
それは先生と生徒という関係だけではないようである。

或る日、講習が終わり、美紗子は謙二郎と二人だけの時になった、
彼が何か理由を付けて帰ろうとした美紗子を引き留めたからである。

美紗子の友達は言った。
「美紗子さん、良いわねえ、いつも先生のお気に入りで、じゃ私はお先に・・」
「あら、ごめんなさい、冴子さん、だって・・じゃあ、また今度ね」
「いいのよ、じゃあね・・」

冴子は意味ありげにウインクをした。(頑張ってね)という意味だろうか?
仲の良い友達の冴子に(ごめんね)とばかりに手を合わせる。
にこりと微笑んで冴子は部屋を出て行った。
冴子とは、時々は短歌の勉強会が終わった後に食事をする仲でもある。


その日は講習の為に、一日部屋は借り切ってあり、誰ももう来ない。

「美紗子さん、貴女が詠んだあの短歌は、
花を愛でる気持ちが良く出ていますね、とても良いですよ・・
しかし、一言言うとね、何て言うのかな、もう少し手を加えると、
もっと良くなりますよ」

そう言うと、謙二郎は美紗子を見つめながら言った。
彼はいつのまにか美紗子に肩が触れあうように密着していた。
素直で人を疑うことの知らない彼女は何の疑いも持たなかった。
このロマンスグレーの教師を信頼していたからである。



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