初夏のすれ違い / コトバ編-17
…―はぁ…なんで俺、あんなにヒドいコト、平気で言えんだろ…
自室に戻って物思いにふけっていると、ケータイが鳴った。
《無題
:今日はありがと。だいぶスッキリした。》
亜紀子からの、そっけないお礼のメール。
《RE:
:また何かあったら聞いてやるから。おやすみ》
話を聞いてもらったことで、そんなに亜紀子の心は軽くなったのだろうか。
あんなにこっちの好きに弄んでやったのに、礼を言ってくるとは。
…―いや、あれはきっと、ヒドいコト言われたから泣いたんじゃねぇな。
なんつーの…よがり啼き?
結局、傷付けたコトバ達を都合良く解釈してモヤモヤを治めた。
しかし、おやすみ、とメールしたはいいが、まったく眠くならない。
むしろ今のコミュニケーションで、乱れた亜紀子の姿が脳裏に甦ってくる。
ほおを染めた亜紀子、啼く亜紀子、嫌がる亜紀子、達する亜紀子、…そして最後のキス。
溢れるように思い出すうちにみるみる勃起。
…―くそっ、3回もシたのに…!
…くちゅ…
亜紀子に見せつけた時のように、べろりと手を舐め、乾く前にモノをしごき始める。
小指がいつもより小さい輪を作っているのは…亜紀子の巾着型のナカを思い出しているせいか。
「くっ…はっ…」
…―片桐…アニキとなんか、もうヤるなよっ…!
…しゅっ…しゅっ
…―好きな人なんかっ…作るな!
「っは、くふっ…」
ぶるりと体が震える。
…―「サク、気持ち、いぃっ…!」
ナマのナカよりもサクを煽る、あの甘い声が再生される。
「ぁぁっ、かたぎ、り…、……きだっ…!
っくはあぁっ…!」
口から何を漏らしたかよりも、ティッシュのありかが気になるラスト。
無心で手を上下させる。
…びゅるっ!…とぷっ、こぷ…
精が飛んでしまいそうになったのは初めだけで、さすがに残りはこぼれるように溢れただけだった。
後始末さえ体が重く気怠い。
むなしさよりも先に、どっと眠気が押し寄せてきた。
なんとか3m離れたゴミ箱を往復すると、ばたんとベッドに倒れ込んで、サクは眠りの世界に墜ちて行った…