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留守番の夜
【兄妹相姦 官能小説】

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三時の夕立『雷:止まない雫』-6

「イ…っくぞ!
……飲めっ…!」

アニキに仕込まれた技巧かと思うと、自分を止められなかった。
今まで"飲む"ことは強要してこなかったのに、抜かずにそのまま片桐の口の中で爆ぜる。
片桐は一瞬、驚いたように目を開き、その後、ふっ、とまぶたを下ろした。
それがものすごく従順な動作に見えて、俺の加虐心は満たされかける。
しかし…

「…美味かった?」

…こく

「さっすが淫乱ちゃん。
…さてと。
俺は補習の拷問に戻るかな。
…じゃあな」

…くんっ

一歩も踏み出す前に、ベルト絞めかけで弛んでいたYシャツを引っ張られた。
振り向くと、いまだ濡れた瞳の片桐が、中腰になって何か言いたげな顔してる。
ためらったあげくに聞くの止めた、っつー中途半端なツラして、片桐は言った。

「…補習、どう?」

「まぁ…ボチボチ」

俺は軽く流して、きびすを返さずに本題を待ってやった。
ベルトを絞め直しながら。
片桐はもうひと逡巡して、やっと口を開く。

「ね…サクは…
サクは、志望校、どこ…?」

…げっ!
それを聞くか!
いや、俺だって片桐がどうするのか、気にはなっていた。
なんたって高3=受験生、だもんな。
でも期末テストの結果を見て、先生にヤバイぞって脅されてたんだ。

「……お前は?」

とっさに卑怯な返しをしたが、その答えはショックすぎた。
片桐の言う大学は、そこそこレベルが高く、今の俺には、絶対、無理。
コイツは…俺を置いてあの名門に行くのか。
んで、サークルだの恋だのって、キャンパスライフを楽しむワケ!?

一気にイラッとした俺が口走ったのは、…いかにも勢いで言ったかのような、更にハイレベルな工科大学。
大学名を聞いた片桐の目が見開かれたのには気付いたが…それを無視した俺は、見栄以上にとんでもなく勢いだけな一言を言い放った。

「…んなワケで。
今日で、俺とお前は終わりだから。
脅して遊ぶのも、もうやめてやるよ。
今度こそ、…じゃあな」

言いながら、しまった、と思った。
なんてこと口走っちまったんだ、俺は。
だいたい、矛盾だらけだ。
補習受けてるクセにハイレベルな大学名を言ったり。
さっきまでそんな気配全く無かったのに、いきなり、終わり、だなんて…!

超大混乱な中にも、なぜかバカげた意地があって、俺は言葉を取り消せない。
後悔に押し潰されそうになりながら、結局片桐に背を向ける。
止めてくれ、追いすがってくれ、と思った。
でも、背後の片桐の気配は動かない…。

足を踏み出すごとに、胸が締め付けられるようだ。
混乱が、一歩ごとにほどけて、怒り、悲しみ、後悔、と分類されていく。
最後に頭ん中に残ったのは…雷に打たれたかのような、片桐の悲痛な顔だった。

俺は…なんてことやっちまったんだろう…
教室から見える遠くの空に、真っ黒な積乱雲が見えた。


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