けんぽなし〜ニゲル〜-3
ー………
どうしたらいいのか…わからない。
私は1人、街をうろついていた…
ー…どこ…行っちゃったんだろ…
私、人が行き交う景色を見つめながら、その場に座り込んでしまった…
行き交う人の声が遠くに聞こえ、足音が頭に響く…
あの2人も、こうしてどこかで何かを見つめているだろう…
「はぁ〜〜〜…何やってんだよっっ」
!!っ
「空!?」
空は大きなため息と共に私の隣に腰を下ろした。
そんな空は、汗だくだ…
「…もしかして…探した?」
何となく口からこぼれる言葉…
私はすでに思考力がかなり落ちている…
「なっ!!ばっっかじゃねーの!?お前なんか探すかっチビっ」
「…そっか…」
「いいから、行くぞ、いつまでもこんなとこにいたら熱中症になるだろ」
「うん……あの2人は…どうして逃げることを選んだのかな?」
「……あのなー…」
「空、前に言ったでしょ、ガキが逃げたってすぐに捕まるって…」
「…?…ああ」
「あの言葉にムカついたけど…」
「は?何?ケンカ売ってんのかお前は…」
「だけど…本当は…本当は…私もそう思ってた…思ったの…最低だよね…」
「……ばーか…ばかだなほんと…」
空、そう言って自分が被っていた帽子を私に被せた。
「つーか、暑すぎるだろっ、ほら立て、行くぞっ」
空、立ち上がると、私の腕を掴んだ…
あれ?
あれれ?
何か…頭がクラクラ…して…
「おい?…瑞希?瑞希!?瑞希!?」
薄れていく景色と空の声…
私はその場に倒れ込んだ…
私は気がつくとベッドの上で、この寝心地の悪さと鼻をつく臭いで、ここが病院だと分かった…
「ああ〜…よかった…もう…心配したよ〜〜…」
そう言って、少し目の赤い母さんが私に顔をうずめた…
「うん……ごめんなさい…」
「寝不足と脱水症状だって、あと30分位点滴がかかるから、まだゆっくり寝てて…母さん看護士さんに知らせてくるね」
母さん、ゆっくり立ち上がるとニヤリと笑って出て行った…
ー??
ガラガラっ
母さんと入れ違いで入って来たのは…
ーえ?空!?
ああ〜…そういえば空と話してた、気がする…
「ありがとう…」
ーだ…だよね…とりあえず…
「ばーか…」
ーうっ…
でも、なんだろう…何か…前ほど空の言葉が突き刺さらない…
ー…ような気がする…
点滴が終わると、体が楽になった…
私達は母さんの車で家路に着いた。