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けんぽなし
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けんぽなし〜ニゲル〜-4

「空、あんたを担いで病院に駆け込んだんだって…やっさしいよね〜〜〜」
ニヤリと笑う母さん…
ーああ〜…そういうことか…
もう、弁解する気もおきず、私は部屋へ行った。
ーあ…携帯…
私、机の上の携帯を手にした。
ー忘れて行ってたんだ…え?…

そこには何度も空からの着信が入っていた…

思い出した…私を見つけたときの汗だくの空の顔…

トクン…

ー!!っいやいやいやいやいや…ないないないない…

私、携帯を握りしめ、ベッドへ潜り込んだ…

どれくらいたったのか、ザワザワとした騒がしさで目が覚めた…

「ん?…8時…」
重たい体を起こした瞬間…
「瑞希、見つかったって!!見つかったって、あの2人!!」
母さんの声が響いてきた。
ーえ?
私、飛び起き、一階へ駆け下りた。
「用意して、耕太郎待ってるから」

ドキッー

ーえ…

「耕太郎が迎えに来たのよ早く、どうせ行くんでしょ…」

ーきゃーー!!

ドキドキが止まらない…

こんな…
なんか…
とっても…
私なんかで…
いいですか〜〜〜!?

それは、耕太郎の自転車の後ろで、強張る体を小さく縮こめる私…

「あの2人…」
ーえ…
「透蒔と綾…駅前のネットカフェにいたらしい…」

耕太郎の話では、2人は合計350円の所持金で、ネットカフェの代金が払えずに警察に保護されたということだ…

ー……

そんな近くに…
やっぱり、私達、子供には行き場所なんかない…
逃げ場所なんかない…
逃げ道なんか…ない…

だったら
大人になれば自由になれるのだろうか…
逃げ道も隠れ場所も自由にあるのだろうか…

自由に行くことが出来るのだろうか…

生暖かい風を受けながら、私は、ぼんやりとそんな事を考えていた…

「そういえば、今日、空が…」
ドキッ!!
ーえ!?
突然の耕太郎の言葉で心臓が跳ね上がる…
「空が瑞希のこと探してたけど…」
「う…うん…」
「透蒔と綾を1人で探しに行ったんじゃないかって、すげー心配してたからさ大丈夫だった?」
「うん、……大丈夫…」

ー………

あれ?
ー…空は私が倒れたこと…黙っててくれてる?の?

意外だ…
すでにみんなに面白おかしく語っているのだと思っていた…


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