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〈利益の卵〉
【鬼畜 官能小説】

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〈利益の卵〉-21

(凄い……私じゃないみたい………)


鏡に映る自分の姿に、美優は見惚れてしまっていた。ずっと思い描いていたアイドルの姿、一度は諦めたアイドルの衣装を纏った自分は、想像以上に可愛らしく、ついさっきまでの憂鬱を完全に忘れてしまっていた。


『さあて、みんな待ってるわよ。行って来なさい』

「あ、ありがとうございます!行って来ます!!」


更衣室のドアを開けると、そこには驚きと喜びの混じり合った母親の姿があった。
そして母親は美優の手を握り、満面の笑みを浮かべた。


『可愛いわ……やっぱり美優は可愛いわね』


何度も何度も、母親は美優を褒めちぎり、強く手を握っていた。
本当に喜んでくれている母親の姿に、美優も嬉しくなっていた。


『じゃあ、お母様と並んで記念写真を撮りましょう』


手を繋いだまま並んだ母娘を、男はデジタルカメラで撮影した。
二人とも、これ以上ないくらいの笑顔を浮かべていた。


『さて、美優ちゃん行きますよ。皆さんあんまり可愛くて驚くだろうね』


殆どお世辞のような言葉さえ、今の美優にはすんなりと頷ける言葉だった。
衣装の魔力が、美優の心を高めているようだ。


「ママ、私、いっぱいアピールして、いい曲作って貰うからね」


清潔で綺麗な更衣室、スタッフ達の対応の仕方も、以前の事務所とは天と地ほども違う……今度こそ、本物のアイドルになれると美優は確信した。

ウンウンと頷く母親に手を振ると、美優は胸を張り、男の後をついて部屋を出ていった。
母親の、少し安堵したような微笑みが、美優の瞼に焼き付いていた……。





『え…と、聞かれた事に答えればイイだけだからね。印象悪くならないように、元気に答えてね。……で、エレベーターで上がって……正面のドア開けたらステージの上だからね』


二人でエレベーターを使い、グングンと上の階を目指していく。
それはまるで、アイドルスターとしての階段を駆け上がるような高揚感があった。
エレベーターの扉が開き、一歩踏み出す……すぐ真正面にドアがあり、長い廊下が続いている。
ビルディングの最上階に、そのステージと会場があるようだ。



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