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〈利益の卵〉
【鬼畜 官能小説】

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〈利益の卵〉-2

「……うん、仕事……」


小さな、本当に小さな声で頷いた。
始めの頃は、母親の期待に応えようと張り切っていたのだが、来る日も来る日も水着やコスプレなどの撮影ばかり。
ドラマの仕事もCMの仕事もなく、CDを出す話すら来ない。
美優の想っていた《アイドル》とは、あまりに掛け離れていた。


『お姉ちゃんお仕事か〜、私はパパとママと遊園地に行くんだ』


妹の無邪気な言葉は、美優の心を傷つけていた。
母親の勝手に応募した行動は、実は邪魔な自分を家庭から引き離す為だったのかも……美優は段々と、そう思うようになっていた。


『頑張ってね。美優は可愛いから、今に仕事も増えるだろ?』


父親の本心も疑っている美優には、どうしても言葉を素直に受け取れなかった。


(そうよね。仕事増えたら会う時間も減るもんね)


拗ねた気持ちが沸々と沸くのと同時に、本当に自分に期待してるのかもといった淡い想いも生まれている……迷い悩みながらの食事はやはり美味しくはなく、あまり箸の進まぬまま夕食は終わった。





撮影当日。

いつものように、父親の運転する車で連れてこられ、スタジオの入っている煤けたビルの前に降ろされる。
美優の“休日”は、早くも終わりを迎える事になる。

『じゃあね、お姉ちゃん。お仕事頑張って』


父親と母親、それに妹を乗せた車は、美優を降ろすと直ぐに発車した……まるで遊びに行くついでに美優を乗せたかのようだ。
何度も繰り返されてきた、いつもの“休日”の始まりは、やはり寂しいものだ。そんな想いを振り切るように、美優はパタパタと駆けてスタジオへと向かった。



『みゆちゃん、おはよう』

『おはよう、今日も楽しくいこうね』


美優の芸名は、平仮名の“みゆう”にされていた。
それにどんな意味があるのか分からないが、同じ事務所の娘達も、名前は平仮名に変えられてデビューを果たしていた。



「おはようございます!よろしくお願いします!!」


朝から元気な男性スタッフの挨拶につられ、心にもなく明るく美優は振る舞った。
ここでは皆が美優に気を遣い、気持ち良く撮影が出来るように心配りをしてくれる。



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