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〈利益の卵〉
【鬼畜 官能小説】

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〈利益の卵〉-10

『お姉ちゃん、ご飯だよ〜』


呑気な妹が、美優の部屋のドアを開け、夕飯の誘いに来た。
妹が、父親の“隠し物”を知っているとも思えず、いつも無邪気な妹が羨ましく思えていた。


『明日もお仕事なんでしょ?次の写真集っていつ出るのかな?』


階段を一緒に下りながら、妹は何気なく話し掛けてきた。
その言葉に、美優は突然憂鬱な気分になってしまった。
自分は、あの〈撮影〉から逃れられないのだ。
佐藤美優であると同時に、“佐藤みゆう”でもある。アイドルを辞める。と言わない限り、あの仕事は続くだろう。
モヤモヤした気持ちのまま、美優は食卓につく事になってしまった。


『夕飯遅くなってゴメンね。……明日はパパがいないから、ママが送ってあげるね』


行きたくない……母親も、明日の仕事に行くのは当然だと思っている……今の美優の心中は、母親には伝わっていないようだ。


「………仕事……休みたい……」


呟くように、美優は本心を打ち明けた。
しかし、あの恥ずかしい行為を連想させる写真の事までは言えなかった。
多感な年頃、そんな事は、例え口が裂けても言えるはずは無かった……。

美優の突然の言葉に、母親も妹も、一様に驚きの表情に変わり、そして曇った表情へと変わっていった。 それは無理からぬ事でもあった。


「撮影……恥ずかしいの……もう、写真撮られたくない………」


一瞬、母親の表情が強張ったが、すぐに柔らかな優しい表情へと変わり、優しく美優に語りかけた。


『でもね、グラビアアイドルだったら、あれ位は普通じゃない?他の娘だってやってるんだし……それに、美優は人気あるんだから。みんな応援してるのよ?』

「…………」


母親の言葉は、美優には励ましとは受け取れなかった。
美優の気持ちに答えた訳でもなく、ただ『仕事に行け』と言っているように聞こえていた。


『確かに、ちょっと大人びたポーズのもあったけど、全然イヤラしくなかったわよ?全部良い写真ばかりじゃない』

「………」


母親は知らないのだ……何故、美優が嫌だと言っているのか……。

母親の言葉は、まだ優しい口調で話してくれてはいたが、その表情は少し威圧的なものに変わり始めていた。



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