続・幻蝶(その1)-7
やがてヤスオの唇は、その悩ましく盛り上がる恥丘に吸い寄せられるように這う。まるで愛おし
いものを優しく包み込むように舌先がねじれ、淫唇に迫っていく。その舌先は彼女の閉じられた
秘裂の薄い溝の皮膚を絡め、掻き分けながらその柔らかい割れ目をまさぐっている。
瞳を閉じたふたりの行為に、凛々しく澄みわたった美しさを感じたとき、私は自分の胸の中に痛
みに似た欲情が吹き上がってくるのだった。
しだいにヴィディアは、ヤスオの唇の淫靡な感触に刺激されるように、微かな息を吐き始める。
清楚で長い睫毛を潤ませた彼女の顔が恍惚とした美しさを漂わせてくる。眉根を寄せ、潤んだ唇
からは、充たされたような嗚咽を洩らす。
ヤスオは彼女の淫唇に、舌先で微妙な刺激を与えながら、弛みだした桜色の割れ目を優しく撫で
るように舌先で揉みほぐす。
翳りをもった薄桃色のヴィディアの貝肉は、やがて溶け出すように柔らかくなっている。
そのヤスオの愛撫に酔っていくように、少しずつ湿り気を持ち、露わになっていく淡紅色の媚肉
は、溢れだした蜜液でしっとりと濡れ始めていた。
ヤスオはヴィディアの腰に掌を添わせながら、執拗な愛撫をつづけている。のけ反る彼女の長い
黒髪がうなじに悩ましく乱れ、胸元から乳房を被うように垂れていた。そして解きほぐされた
桜貝のような秘裂は、まるで蝶が羽根を広げるようにあざやかに開いていくのだった…。
ふと八年前のあのときのことが脳裏に走る…。
トモユキのマンションにヤスオを食事に誘ったときだった。
私はあのとき、ヤスオに覗かれることを意識してトモユキとセックスをした。いや…ヤスオがい
たからセックスをしたくなったのだ。
ベッドの上で私とトモユキが絡み合う光景を、ヤスオはあの暗闇の扉の陰から見ていた。
私の中に、どろどろと蕩けるような疼きが襲い、胸の動悸がしだいに烈しくなってきたことを憶
えている。トモユキのものを求め、トモユキのからだの上に乗り、のけぞる私の乳房の奥が針で
つつかれるような痛みをヤスオの視線がもたらしていたのだ。
トモユキのペニスを性器の奥深く含みながら、烈しく腰を浮かせ、咽喉の奥から迸り出る自分の
嗚咽…ヤスオは、ただ私の悶えるからだをじっと見つめていた。
いや… ヤスオは、トモユキのものを含んだ私の性器だけを見つめていたのだ。
あの翳りのある瞳…陰鬱で獰猛な瞳…いや…あれは、私という蝶を追ってきたあの夢の中の見覚
えのある瞳だった。
光と影に包まれたヴィディアとヤスオは、私の前で静かすぎるほどの愛撫の戯れを続けた。
彼女がヤスオのペニスをしゃぶり、ヤスオが彼女の秘裂を愛撫する…ただその行為だけが限りな
く繰り返された。
私はふたりの行為を目の前にしながら、咽喉を掻き毟りたいほどの焦燥感と飢餓感を感じていた。
そして、性器の中に窒息しそうな息苦しさを感じたとき、蜜汁が烈しく渦を巻き、私の中の蝶が
目覚めるように羽根を広げ始めていた…。