てき屋のマコ5-1
今度はド派手な立ち回り
次の日。
源さんが夏風邪をひいた。
「じじいに死なれた困るからな」
「そうでやんス…大人しく寝ててくだせぇ」
口は悪いが源さんを心配するマコとナンシーの気持ちは本物だった。
「ヘッグション!!てやんでぇ!これくれぇ!…ハックション!」
出店の中で強がっている源さんだが。
クシャミが止まらず、明らかに辛そうだ。
「死なれたらなぁ!香典払う余裕がねえんだよ!まだ!」
全く遠回しな心配の仕方のマコだが。
その言葉には心がある。
「そーでがんス!無理はよくないっす」
マコよりはストレートなナンシー。
言葉と共に出店の中から源さんを押し出す。
「わあったよ!ナンシー押すなって!」
源さんも顔はしかめてはいるが。
孫のような二人の言葉を胸の奥で熱く噛みしめていた。
源さんが帰り。
今日は急遽、ナンシーは店番となり。
午前中の海岸パトロールはマコひとりの出番となった。
が結果はやはり振るわず。
「ふぅぅ…アッチぃなぁ」
昼を少し廻り、マコがひとまず出店に戻ってきた。
「マコさん…お帰りっす」
顔中を汗まみれにしてお好み焼きを焼いていたナンシーがニカッと顔を上げた。
「おう!」
マコは出店の中に入ると氷水が張ったクーラーボックスの中からジュースの缶を取り出してプルトップを開けた。
「ンンンン……!ぅんめぇなぁ」
キンキンに冷えたジュースを喉に流し込むマコ。
「あぁぁぁぁ!マコさん!ひとくち!ひとくちぃぃ!」
まことに喧しいナンシー。
両手のヘラを動かしたまま顔をマコの方に突きだし。
口をアングリと開いている。
「しぁねぇなぁ!」
顔をしかめたマコ。
手にしたジュースをナンシーの口に流しこんでやる。
「プハァァァァァ!うんめぇぇぇ!」
ジュースを飲み干したナンシーが子供の様な笑顔を浮かべる。
「ったくよ…」
その顔を見つめるマコの顔も自然に綻んでいた。
そんな感じでマコとナンシーが出店の中で戯れていると。
「くぅ〜ださないな」
可愛らしい声が…。
「あいよ!」
慌てて戯れを中断するマコとナンシー。
「六個下さい」
出店の前に四名の中学生くらいの女の子が立っていた。