異界幻想ゼヴ・セトロノシュ-21
「っと……まだ大丈夫かい?」
「あ、はい」
三機分のエネルギーを一度に供給している訳だから少し体がピリピリするが、レグヅィオルシュに乗らされた時のように急激に吸い取られる感覚はまだない。
「結構。ちと重力かかるから、気をしっかり保っててくれよ」
ぐん、とカイタティルマートが動いた。
『ぅえっ!?』
『ちょっ……!?』
どん!
カイタティルマートの中に、衝撃が走る。
体当たりでバランスを崩されたレグヅィオルシュだったが、わずかに姿勢をぶれさせただけですぐにカイタティルマートへ組み付いた。
『フラウ!』
助力を求めたジュリアスが叫び、マイレンクォードがすぐさま反応する。
得物を構え直したマイレンクォードは、カイタティルマートに向かって間合いを詰めた。
「引っ掛かったなー、お前らぁ」
してやったり、と言わんばかりにティトーが呟く。
次の瞬間……それは、来た。
「ぐっ……!!?」
レグヅィオルシュの時とは比べものにならない衝撃が、背筋を駆け上がる。
思わず喉を震わせる深花の唇を、ティトーはついばんだ。
「ちょいときついの来るだろうから、頑張ってな」
言われた通りに、かなりきつい感触がカイタティルマートから伝わってくる。
「あ、あぅ、ああぁ……!」
「うーし……最大出力、行けぇっ!!」
精力が、一気に抜き取られた。
視界が白くスパークし、抑えられない衝動が沸き上がる。
「あああああぁっっ!!」
喉から絶叫が溢れ出て、ティトーの耳をつんざいた。
頭が後ろへ大きくのけ反り、白目を剥いて半開きの口から舌を覗かせている様はまるで、クライマックスを迎えた直後のようである。
いや実際に似たような刺激が全身を駆け巡ったため、慣れない深花は耐え切れずに失神してしまったのだ。
「……あちゃ〜」
カイタティルマートの出力が急激に落ちるのを感じながら、ティトーは己の認識の甘さを噛み締めるのだった……。
ふわ、と体が柔らかい場所へ沈み込んだ。
体が楽になるようにとの配慮だろう。
服の胸元が緩められたため、汗ばんだ肌に冷たさを感じた。
「ん……」
わずかに声が漏れると、なぜか頭を撫でられる。
撫でるといっても人を落ち着かせるような優しい触れ方ではなく、髪に指を絡ませて感触を楽しむような、官能的な要素の強い触り方だ。
「んうぅ……」
それがくすぐったくて気持ちよくて、唇からは甘えるようなねだるような吐息が漏れる。
「……起きてるんじゃないだろうな?」
いぶかしげな声の主は、ティトーだった。
「ま、それならそれで手間が省けるが」
不意に、上半身が涼しくなる。
同時に聞こえる布擦れの音と合わせて考えると……どうやら、服を脱がされたらしい。
「きゃああああっっ!?」
その事を理解した深花は悲鳴を上げて跳ね起き、両腕で胸をティトーから隠しつつ背を向けて体をガードした。
「お」
一瞬呆気にとられたティトーだが、すぐにふてぶてしい笑みを浮かべる。
「何も隠さなくたってなぁ」
「隠しまっ……っぅきゃあわうっ!?」
背中に何かが触れたため、深花は素っ頓狂な声を上げた。