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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・セトロノシュ-22

「陽に当ててないな。ずいぶん白い」
 舌先が、無防備な背を這っていく。
「ちょちょちょちょちょ」
 逃げるという選択肢は頭の中から抜け落ちてしまい、深花は言葉にならない声を発しながら硬直してしまった。
「安心しな。ジュリアスには及ばないがそれなりに場数は踏んでる」
「いや何を安心しろってえぅわああ!?」
 腰に手が回ってきたため、深花は動転して飛び上がる。
「もちろん、アフターケアに決まってんだろう」
 肩に顎が乗ったかと思うと、耳に息を吹き掛けられた。
「い……いやいやいやいやいやいや!もう平気いいいぃぃぃぃ!?」
 頓狂な悲鳴を上げ続ける深花の体を、ティトーはあっさり横に倒す。
「あ……」
 顔を覗き込んできたティトーが、にっこり笑った。
 少々クセが強く、好みは別れるが美形の範疇に入る事は間違いない顔立ちである。
 そんな男から笑いかけられて、深花の体は一瞬動きを止めた。
 動きが止まった瞬間、ティトーは顔を近づける。
 何の違和感もなく、キスは唇に降ってきた。
 そういえばさっきも自然にキスされていたな、と深花は思い出す。
 自然過ぎて、嫌とか恥ずかしいとか考える暇もなかった。
 それは今もそうで、嫌悪感は全くない。
 唇が離れると、ティトーが囁く。
「……無理は言うもんじゃない。慣れていないだけで、本当は疼いてるんだろう?」
 体の状態を言い当てられた深花は、黙って頷いた。
 二度目となったそれは何となく受け流し方が分かってきたので平気な風を装え、きゃあきゃあとやかましく騒げたが……その実、体の芯がずっと熱っぽい。
 唇を触れ合わせただけのキスにさえ、脳髄がとろけそうな有様だ。
「変に遠慮はするな。俺達の仕事には、何よりもチームワークが不可欠だ。厚かましいのは困るが、こんな事でためらわれて現場復帰が遅れるのはもっと困る」
「……はい」
 しっかりと、深花は頷く。
 くすりと、ティトーは笑った。
「じゃ、続きをしようか」
 もう一度、唇が重なる。
 今度はそっと、舌が割り入ってきた。
「!」
 体が強張ったのを感じたか、ティトーが唇を離す。
「とりあえず今日は俺に全部任せて、抵抗しないでいてくれればいい。それも難しいか?」
「う……」
 返答に困る深花を見て、ティトーは肩をすくめた。
 ベッドから降りると、近くにあったテーブルの所まで歩いていく。
 テーブルの上には、陶器の水差しが置かれていた。
 水差しの脇に二つ置いてあったゴブレットのうち一つを手に取り、水差しから何かを注いで戻ってくる。
「それは……?」
 身を起こして恐る恐る問い掛ける深花を見て、ティトーはにこりと笑った。
「飲めば分かる」
 言ってゴブレットの中身を口に含み、口移しで飲ませてきた。
「ん……」
 口移しなどというセクシャルな行為を、深花は不思議と抵抗なく受け入れる。
 ティトーとのキスは平気なのにそれ以上は抵抗があるというのも、我ながら変な話だ。
「ふ……」
 口腔に流し込まれた液体はほんのり甘くてとろみがあり、すんなりと喉に落ちていく。
 深花が液体を飲み込んだのを確認すると、ティトーはもう一度口移しでそれを飲ませてきた。
 口移しと言うには長すぎる時間唇を重ねてから、ティトーは唇を離す。
「……ほんの少し羞恥心を取り去って体を賦活させてくれる薬、と言えば納得してもらえるかな?」
 そんな便利な物が、この世界にはあるらしい。
「だからもう平気だろ」
 体を倒して再び唇が重なると、また舌が這い込んできた。
 身構えることもなく、今度はそれを受け入れる。
 深花の体が緊張しないことを確認したティトーは、舌先で口腔内を探り始めた。
 飲ませた薬湯のせいで口の中はしっとりと温かく、実に心地いい。
 綺麗に並んだ歯の間に己の舌を差し込み、深花の舌を探り当てる。


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