シグナル¨12¨-1
今日は久々に6人揃って遊ぶ日だ。
こないだ学校で話してる時に、来月には2年生になるから、じゃあその前に遊んどこうかって事になった。
皆で遊ぶのかなり久々だよな、去年の夏以来か。
速人が織田さんに告白したっていう遊園地に行く事になった。
「お前、本当にこの道で合ってんだろうな」
「うんうん、俺が言うなら間違いない。電車でしか行ったことねえけどな」
そうだ、プールに行った時は電車だったんだ。
あの時はとにかく浮かれすぎちゃって、他の人の迷惑も顧みず騒いでたなぁ。
今年は二十歳になるんだし、もう少し周りの事を考えられる人間になりたい。
いつまでも遊んではいられないんだから、ちゃんと考えておかなくちゃ。
・・・でも今日は、そういうちょっと堅い事はおいとこう。
「それにしてもよー、タバコ臭せえ車だな」
「こら、食べかす落とすな!他の人の車でこの馬鹿っ」
遠慮も無しにいきなりポテチの袋を開けて、音を立てて噛りだす速人。そして、すかさず袋を奪い取る織田さん。
2人の掛け合いはこの一年でかなり磨かれたと思う。
「賢司くんあの雲見てー。ビルに隠れて面白いよー」
「うん、分かってる。悪いが免許取り立てでよ、しかも親父の車なんだ。よそ見はちっと、な」
「へ?あ、ごめん。全然気にしてなかった」
「ははっ、だろうな。見上げる顔、すげえ楽しそうだった」
「よそ見してるじゃん!危ないよー」
天然でマイペースな葉川さんの言動をいつも微笑みながら見守る賢司。
2組とも互いを補えるいい相性だと思う。
でも、僕達もきっと・・・
「ねえ弥生、速人くんと行った時って最初はどれに乗ったの?」
「ジェットコースターだよ。こいつさ、乗った後ふらふらになっちゃってね」
「それでも耐える姿に胸キュンしちゃったのは誰だい?ふっ」
「告ったのあんたでしょ!あっ、あたしは別に・・・っ」
「よく我慢できるね速人くん。私、絶叫マシン無理だよ。絶対乗れない」
・・・遥は、僕よりも速人や織田さんと楽しそうに話していた。
でもプールの時もそうだったし、こういう時はテンションが上がるんだろう。
いいんだ、今日は友達の感覚で遊びに行くんだし、あまり意識してない。
満足するまで楽しむんだ。
「じゃあ最初はあれいこ!」
来て早々、ジェットコースターに並ぼうとする織田さん。
でも乗り気なのは織田さんだけみたいで・・・
「いやなこった、弥生1人で行きなさい」「僕も無理・・・」
「私パス!」「私もー」
「やだ、一緒に行きたい!」
「4人も拒否してんだぞ。最初はもうちっと楽しいのいこうぜ」
「遊園地といえば絶叫系っしょ?!やらないなんてあり得ない」
説得を聞き入れず自分の意見を譲ろうとしない。
彼女にこんな一面もあったのか。もう一年の付き合いになるけど、初めて知ったよ。