投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

シグナル
【青春 恋愛小説】

シグナルの最初へ シグナル 50 シグナル 52 シグナルの最後へ

シグナル¨10¨-1

今日は大晦日。
昨日から帰省してる姉ちゃんと一緒に、紅白を観ながら年越し蕎麦を啜っていた。

でも、勝負の行方が多少は気になる僕をよそに、姉ちゃんはあまり興味が無いみたいだ。
どこのチャンネルも年末特番で代わり映えがしないので、仕方なく惰性で見てる感じだった。

「この曲知ってる?」
「うん。よく聴いたよこれ。テレビだけじゃなくCDショップでもしょっちゅう流れてたから」
「へえ〜・・・私あんまり知らない。聴いたことはあるけど」
「仕方ないわよね。忙しかったんでしょう、明日香」
「うん。疲れて休みは寝てばっかだった」

仕事が忙しいらしく、こないだ会った時より痩せたみたいだ。
最後に会ったのは・・・ちょうど一年前だったっけ。時期的に長く休めるのはお正月くらいだって言ってた。

「そんでさ、成敏。彼女と遊びに行ったの?」
「きゅ、急に何の話だよ?付き合ってからはまだだけど・・・」
「ちゃんと遊んであげなよ。時間あるのは今しか無いし、飽きるくらい一緒にいてあげなさい」
「飽きちゃったら意味ないでしょ」
「いや、私はそう思う。大人になっちゃったら時間全然無いからね。遊べるのは今のうちだけよ」

姉ちゃんにも恋人がいるから説得力があるな。

「・・・私は嫌だけどね。クリスマスに告るなんて、狙いすぎてる男は」
「だからその話はもういいってば!昨日から何回するんだよ!」
「で、彼女にキスされたと」
「それももういいの!いい加減にしてよ姉ちゃん!」
「あれからちゃんと会ってるの?」
「あの後2、3回しか会ってない。お正月は実家に帰るって言ってたから、準備があるって」

遥だけじゃない。一人暮らししてる人はみんな帰郷している。
今頃はみんなもこうしてのんびり過ごしてるかな。
賢司も速人も、会いにいこうと思えば行ける距離だ。
でも、こういう時くらいは家族と過ごすのもいい。特に今年は年中学校で話ばっかりしてたし。

遥に会えなくてちょっと寂しいけど・・・それぞれ都合ってものもあるから。

「忙しい暮れに告るなんてあんた考えが足りないわねー。もっと余裕がある時にすればいいのよ」
「き、気軽に出来る事じゃないんだよ!単なる雑用みたいに言うなって」
「ちゃんとメールや電話はしてあげた方がいいわよ。そういうの、相手は結構嬉しいからね」

当たり前の事かもしれないけど、わざわざ忠告してくれたんだから大事なんだろうな。
分かってるよ姉ちゃん。僕、遥のこと大事にするから・・・



シグナルの最初へ シグナル 50 シグナル 52 シグナルの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前