シグナル¨9¨-2
「遥、自分からいけないもんね。こっちは見ててもどかしいっつうの」
「好きならいっちゃえば。もうすぐクリスマスだし、早くいかないと年明けちゃうよ」
「・・・無理、だよ。普通に話すなら平気だけど」
すると、弥生と杏子が揃ってため息を吐いた。
そんな呆れないでよ、私だって何とかしたい。
「成敏はどう思ってるのかな。このままただの友達でいたい、なんて考えてるのかな?」
「いや、遥と同じかもよ。告白したいけどその勇気が出ないのかもねー」
悔しいけど返す言葉が無かった。
もう大学生になるのに、好きな人に何も出来ないなんて。
「この話は終わり!お風呂入るよ!」
「こらー逃げるなー。それじゃいつまで経っても友達のままだぞー」
「遥はどう?告りたいの、それとも成敏から告られたいの」
「だだだから、この話は終わりなの!はいもうダメ、駄目!」
お風呂場に逃げようとしたら2人に押さえ付けられ、床に寝かされた。
「は、離してよ!」
「乱暴な真似しないから。ちゃんと質問に答えればね」
「遥はー、告白したい、されたい、さあどっち?」
「・・・・・・・・・」
尋問されてるみたいで答えたくなかったから、歯を食い縛った。
するとセーターを捲られ、私のおへその周りを杏子がくすぐってきて・・・
「んーっ?!や、やめ、ひゃひゃ・・・んっ、んん!」
「早く答えないと次はわき腹いくよ。さあ、観念しなさーい!」
それでも答えなかったら、更に弥生まで私の事をくすぐり始めた。
1人でもやばいのに、こんなの耐え切れるわけない。
「わっ、分かった、いう!いうからやめて〜〜〜〜!」
「言うまでやめない」
「されたい!されたいの!わっ私、成敏くんから告白されたいっ!」
白状したおかげでくすぐり責めからようやく解放された。
「でも、いくら待ってても無いかもしんないよ。そのうち卒業しちゃうんじゃない」
「そうかもねー。成敏くん、そっちの方は私より優柔不断っぽいかもしれないし」
杏子が思い切って告白できたんだし、私も覚悟を決めればうまくいくかもしれない。
単なるワガママかもしれないけど、それでも私は成敏くんの口から聞きたかった。
自分で出来ない事を相手に期待しちゃうのは、やっぱりずるいかな・・・
「でも何があるか分かんないからクリスマス、期待しといた方がいいかもよー」
「そうそう。万が一告られるなんて事もあるかもしんないしさ」
どうかな・・・
自分で言うのもなんだけど、いざって時の度胸は私の方があると思う。
多分、今年のクリスマスは一人淋しく過ごすんだろうな。
もう弥生も杏子も予定は決まってるし、他の友達もきっと・・・
決めた。家からでない様にしとこう。バイトも休んで、プチ引きこもりになるんだ。
外で仲良く手を繋ぐカップルを見たら欝になりそうだし・・・