シグナル¨6¨-4
「今のあんた・・・カッコ悪いよ」
速人の動きが止まった。
金魚みたいに口をぱくぱくさせたまま、立ち尽くしている。
あたしは呆然として景色と同化した速人を見つめ、しばらくそうしてからドアを閉めた。
「・・・ふう」
エレベーターの中でため息をついて、壁に背中を預ける。
ひんやりしてて、嫌な冷たさだった。
「言い過ぎたかなぁ・・・さすがに」
もう後悔しても遅い。
今頃速人は暴れてるか、へこんで立てないかどっちかだろう。
速人、最近腑抜けてるから、またあの時みたいに頑張って欲しいんだよね。
あたしがうるさく注意したらいうこと聞いて、真面目にゼミを受ける様になった。
・・・もっとちゃんと誉めてあげれば良かったのかなぁ。
「遅かったねー、弥生」
「速人くんなんか言ってた?随分切羽詰まってた感じだったけど・・・」
心配そうに見ている2人に向かって、出来る限りの笑顔を作った。
自信はないけど、きっと笑えてる・・・はず。
「ん。大丈夫」
〜〜続く〜〜