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冬の日の出来事。
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その後の出来事。-7

さっき通ってきたばかりの道をそのまま戻ると、朋久は地下駐車場の別れた時と寸分違わない場所にしゃがみ込んでいた。
あたしが車から降りると、

「遅い」

そう言って睨みつけてくる。

「ひかれちゃえば良かったのに」
「おいっ」
「帰るよ。早く乗って」

こっちは会話をしたくないんだよ。悟れ、バカ。

「機嫌悪いなぁ」

誰のせいだ。
あぁ、助手席に座るな。後ろに行け!あたしの50cm以内に近寄るな!

そんな心の声がこいつに届く筈もなく、朋久はしっかり助手席に乗り込んできた。
自分の左肩が緊張で強張ってるのが分かる。
朋久ごときに緊張なんか…

「なぁ、つぼみ」

小さい低い声。
悩んでる時の話し方だ。

「…何」
「もしかしてなんだけどさ」

さっきの事?
まさかもうほじくり返す気とか?

「何よ」
「お前俺のこと好きなの?」
「は!?」

危うく急発進するとこだった。
こいつこの期に及んで何聞いてくれてんの?
あれだけの事をあたしにさせて言わせといて、まだ聞かなきゃ分かんないって…

「バカだバカだと思ってたけど、ここまでバカだとは思わなかった」
「誰がバカだ!」
「バカなだけならまだ可愛いけどさぁ、その上鈍くてデリカシーもないって、あんたこの先どうすんの?」
「いや、お前言い過ぎだし!ていうか何でお前に俺の人生の心配されなきゃいけないんだよ!」

好きだもん、心配くらいするよ。
今もこれまでもこれからも、こっちは朋久の心配ばっかしてんだよ。それなのに勝手にあんたの人生からあたしを切り離してんじゃないわよ。
ポロッと本音発信してんじゃないわよ。

「そうね、あたしはあんたの人生に関係ないもんね」

だからこっちも一番言いたくなかったことを言わなきゃいけなくなるじゃない。
自分で言ってて悲しくなる。

「つぼみ…」
「普通分かるでしょ!?あたしが好きでもない男の前で泣くと思う!?あたしが好きでもない男に胸触らせると思う!?あたしがそんな――…」

…あたしは、朋久を忘れたかった。だからとりあえず色んな人と付き合った。好きでもないのに手を繋いでキスもして、それから…

なんだ。
あたし、そんな女じゃん。


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