Crimson in the Darkness -邂逅-(side;lee)-4
「どうしよう……」
子供のおれにちゃんとした答えなんて出るわけもなく、膝を抱えてじっとしてたら、遠くから何か音が聞こえた。
ジャリジャリと土を踏む音。それがこっちに近付いてくる。その音のせいで自然と身体が固まった。
音のする方向をじっと見た。おれの居るこの遊具の中にそれはゆっくりと入ってきた。
それは一頭の黒い犬。暗闇の中でも綺麗な赤い目をした黒犬。
「―――」
あまりの恐怖に声が出なくて、息を飲んだ。
『赤毛の子。漸く見付けた……あの女は死んだようだな。腹を裂いてやったから当然か』
黒犬は赤い目を細めて、嬉しそうに喋った。
端から見れば、犬がしゃべるなんて不気味な光景。
でも、あの人は言ってた。犬はアイツらの手下だって。だから、意のままに操れるって。
黒犬はゆっくりと歩き、おれの方ににじり寄ってくる。
「っ 来るな…っ」
動きの悪い身体を無理やり動かして、離れようとするけど、場所が狭い。背中に壁が当たって、下がれなくなった。
そんなおれを見て、目の前の犬が笑った気がした。