Crimson in the Darkness -決意-Z-4
アイツが笑いかけるのも、泣くのも、………触れるのも。オレじゃなく違うヤツが……?
―――想像できない。いや、違う。想像したくない。
あれだけ泣かせたけど、傷付けたけど……あんな風に心の向くまま、涙を流して、顔を歪ませるのはオレの前だったからだと……、浅ましくもそう思おうとしてた自分がいたんだ。傲慢にもそう思ってたから、リーが会いたくないと言ってるって聞いた時、自分の壊したものの大きさがやっと解ったんだ。
だったら、答えは一つだ。
「―――くそっ 認めるかよ、そんなこと。リーを守るのはオレだっ」
あいつが最初にそう望んだんだ。だから、今更無かったことになんかしてやらねぇ。こんだけ人の胸ン中掻き乱しといて、許してやるかよ。
「やっと自覚した?」
「うるせぇ」
シエルの茶化す言葉も受け流して、胸に下げてた銀色の十字架を外すとそれをリアナに差し出した。
「リーに渡してくれ」
『良いですよ』と言いながら受け取ったリアナは満足気に笑った。
「でも、リーちゃんのはまだ準備出来てないんですよ」
「良い。今は要らない。アイツに直接貰いに行く」
それまではリアナの言う通り、本国で通じるくらいのエクソシストになれるように努力してやる。今更訓練なんてしたくねぇけどな。