Crimson in the Darkness -決意-V-9
「そうですね。あの程度のヴァンパイアに押されているようではね」
「…………」
ハッキリとザックリと言ってくれる。まあ、面と向かってこうまで言われるとある意味小気味良い。
オレが何も言い返さないせいか、リアナは穏やかに笑った。
「私やヒューイは彼女を外敵から守ることは出来ます。でも、……それだけなのですよ」
「どういう…?」
その為に来たんじゃないのか? そうする為にリーを連れていくんだろう?
「あの子の心には壁があって、私たちを受け入れていない。“煩わせない”為に聞き分けのイイコになってる。私ではあの子の心は開けない。私たちには一度も『嫌』なんて言わないんですよ、本当はココに居たいはずなのに。…………貴方には平然と言うのにね?」
…………リアナは少し悲しそうに笑った。
確かにあいつはオレには『嫌だ』としか言ってない。嫌なものは嫌だとハッキリ言い切るヤツだと思ってた。
オレにあれだけ言われたから、諦めたのか。傷付けすぎて、心を閉ざしてしまったんだろうか……。
「話はまだあるんですけど、…………来客です」
考え込むオレを他所にリアナが緊張感を孕んだ声で呟いた。