EP.3 お兄ちゃんは超コスヲタ-4
「どう?看護婦さん!」
「・・・うん、うん。悪くはないな」
しかし返ってきたのはあまり歯切れの良くない反応だった。
また萌えるだの何だのと抜かすのかと思いきや、苦笑いでひかりを見つめている。
「似合わないの」
「うん、いや、別に悪くはないんだ。ただこう、色気がちょっと足りないかな」
ひかりは思わず頭がかあっと熱くなり、冷静さが無くなっていく。
この野郎にだけは、この屑野郎にだけは言われたくない。それをさらりと言うなんて・・・
「まあ仕方ないか、ひかりはまだまだお子様だもんな。色気がどうとかは早いかあ」
「じゃあもっと大人の服を着ればいいんでしょ?!いいわよ、やってやるから!」
「お前、これで最後にするんだろ。いいのか」
「いいから!待ってて、すぐ戻るから」
ひかりがその衣装を持って脱衣場に消えていくのを確認してから、典明は邪悪な笑みを浮かべた。
計画通り、ととびっきりの悪い目付きで、稼動範囲の限界まで口角を吊り上げる。
典明の扱いが上手いのか、はたまたひかりの方が単純すぎるのだろうか?
「やっちゃった〜・・・どうしようお母さん、お父さん!」
鏡の前で全裸になり、ひかりは遠い異国の地にいるであろう両親に助けを求めた。
いくら挑発されたとはいえまたも引っ掛かるとは、典明以上の阿呆かもしれない。
ひかりは体の上から持ってきたエプロンを当てた。
上は谷間を隠し切れず、下も・・・大事な場所からわずか数センチ程の面積しか無い。
布が足りず、明らかに卑猥な目的専用のエプロンである。
それなのに全体に可愛らしいフリルがあしらってあるのが、とにかく腹立だしかった。
「楽しんでるんだ・・・あのやろう、いつか絶対埋めてやる」
今更やめると言ってもあの変態が簡単に許可するとは思えない。
もはやひかりに逃げ場など無いのである。
ひかりは覚悟を決めて、自分の肢体を小さなエプロンに押し込めていく。
「これならどう、このド変態っ!」
半ば自棄になりながら典明に体を晒した。
典明は言葉を発さず、ひかりの顔をじっと凝視している。
それから、鎖骨に目線を移し、胸元から足の爪先までじっくりと観察した。
「な、なんか言えよぉ、じろじろ見るな、この・・・」
ひかりの白い肌がほんのり赤く染まり、ピンクのエプロンとお揃いになった。
見られているのはおそらく胸元だろうが、後ろまでじっとり視姦されているみたいだった。
そこから動かないはずのこの変態が、自分の体を全方向から観察している様な錯覚を起こしそうになっていた。