娘の告白-12
「お父、さん。今まで隠しててごめん。私・・・実は、付き合ってる人がいるんだ」
銀太郎の頭の中で、点と線が繋がっていく。以前怜が口にした事が現実になってしまった。
・・・あの小夜が秘密を父親である自分に打ち明けてくれた。
内容は一先ず置いておくとして、小夜の心の変化は素直に嬉しかった。
「そうか」
「・・・うん・・・」
「小夜、おいで」
誘いはしたが自分から近寄り、小夜を抱き締めた。
小夜は驚いて目を丸くしたが、微笑む銀太郎を見つめ、やがて静かに目を閉じ、胸に頬を寄せる。
(お父さんの抱っこ・・・あったかい・・・)
小夜は、不意に目頭が熱くなるのを感じた−
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
暫く銀太郎の胸に身を寄せていた小夜は、自分の部屋に戻ると告げる。
ここで一緒に寝れば、と憎らしく言う怜の額を叩いて、仕事場の襖を閉じた。
(出来るわけないでしょうが、あのバカ妹・・・)
心臓が胸板を突き破りそうな程、激しく脈動している。
僅かな時間で色々、本当に色々あったので、これ以上負担が掛かったら、小夜の心臓はパンクしてしまいそうだった。
いくら心を開いたとはいえ、流石に精神的に限界が近付いていたのだ。
(お父さんって・・・あんなに優しかったんだ・・・)
恋人がいる事を白状したのに、何も言わず抱き締めてくれた、たった一人の父親。
でも明日以降質問責めにされるだろうな、と小夜は苦笑いしてしまう。
それでも不安では無かった。もう、今までの自分とは違う。そう思えるから・・・
「ひゃあぁ?!」
突然左肩にずしりと重みを感じ、カエルの様に飛び跳ねそうになった。
微かに熱を帯びているので、恐らく人の手かもしれない。
「ここが自分の部屋なんだ、引っ越したんだね」
「れ、怜?!あんたなんでここに・・・しかも裸じゃない!」
「お姉ちゃんだってそうじゃない。忘れてるよ、パジャマ」
怜はくすくす笑いながら、持っていたパジャマを小夜の膝に乗せた。
「忘れ物、こないだもしたよね。覚えてない?」
「・・・い、いつよ。知らないけど」
「本当に覚えてない?本当に?どうして?」
やけに探る様な、念を押す物言いに小夜は首を傾げる。