チョコレート・デイズ‐りくとリナ‐ 5-4
「なんだ…コレ?」
制服のままベットに座ったリナは手にした封筒をしげしげと眺めていた。
宛先はリナの名前だが…差出人の名前が無かった。
ふと…昨日の腹立たしい件が蘇ってくる。
だが…ごちゃごちゃ考えていても仕方ない。
リナはベリベリと封筒を破りだした。
「ん?」
数枚の写真らしき物が入っている様であった。
「!!」
それは紛れもなく写真であった。
写っていたのは…。
昨日のリナの痴態であった。
「ざけんなよ!!」
その写真を見たリナ…当然の事だがその心を占めていたのは100%の怒りだった。
その瞬間…またリナの携帯が鳴った。
番号は?
昨日の番号だ!
「てめぇ!コラ!」
リナは携帯に出るなり怒鳴り散らした。
「リナちゃんは可愛いんだから…そんな乱暴な言葉使いしちゃダメだよ…」
粘着質な声が携帯の向こうから聞こえてくる。
「どういうつもりだよ!」
ただ、そんな事を聞くリナでなかった。
「ま…まぁ…落ち着いてよ…リナちゃん」
携帯の向こうの男はそんなリナの迫力に押されながらも要件を伝えきた。
制服のまま部屋から飛び出したリナ。
「ちょっと!リナ…なに騒いでんのよ!」
心配した母親が寄ってきた。
「何でもない…ちょっと出かけてくんね」
リナは無理して笑いながら母親に応えた。
変態男が指定してマンションはリナの家から十五分くらいの距離にあった。
「ぶっとばす!」
怒りに肩を震わせてエントランスを抜けるリナ。
そのマンションはオートロックとかとは無縁の古びたマンションであった。
711号室…最上階の角部屋だった。
その部屋のインターホォンを苛立たしげに連打するリナ。
次の瞬間…ドアが開き太った丸い顔にメガネをかけた若い男が顔をだした。
「やぁ…リナちゃん…いらっしゃい…」
男は気持ちの悪い声でニタニタと笑った。
「誰だ?てめぇ?」
氷の様な視線で男を見据え凄味を利かせるリナ。
こんな男とはもちろん面識は無かった。
「いやぁ…せっかく来てくれたんだから…まぁ…入りよ…」
リナの怒りも何処吹く風といった男が入室を促す。
「ちっ!このヤロー!」
怒り心頭のリナは男を押し退ける様にして土足のまま部屋の中に入っていった。
エロ本やエロDVDが散乱する部屋。
汗と精液の匂いが混じり合いすえた感じの悪臭となっている。
1分1秒でも早く出たい…そう思わせる部屋だった。
「部屋まで来たんだから…よこせよ!写真!」
自分の鼻をつまんだリナが声を荒げる。
変態相手に遠慮は無用であった。
「まぁ…お茶でも飲んでいきなよ…」
変態男はニタニタと持ち前の粘着性を遺憾なく発揮している。
「んなもん!飲めるか!早くよこせ!」
部屋まで来たら写真を渡すと言われてやって来たリナだった。
気の強いリナ…変態相手に負ける訳がないと思っていた。