チョコレート・デイズ‐りくとリナ‐ 3-1
クリスマスパーティー
「ジン♪ジン♪ジングルベル♪ジン♪ジン♪ジングルベル♪メリィ♪クリ〜スマス♪」トナカイの着ぐるみを着たバニラがノリノリで『ジンジンジ○グルベル』を歌っている。
「いいぞ〜バニラ!」
「脱げ!脱げ!」
リナもりくも酔っ払ってゲラゲラ笑っている。
今日はちょっと早いクリスマスパーティー。
りくはシンプルな灰色のチュニックにデニムのミニスカ。
リナは黒のモコモコトップスに豹柄のコクーンスカート。
二人とも身につけている物は全てセシルマクビーという気合いの入れ様であった。
そんな二人とは対象的なのがバニラ。
コスプレ担当と言う事で二人に半強制されてトナカイの着ぐるみを着ていた。
“なんで!うちだけこんなカッコしなきゃイケないんスか!!”
最初はかなりブゥ垂れていたバニラだったが。
一緒にパーティーしている男子達の以外な程の反応の良さに今ではすっかりご機嫌の様子だった。
「チョリ〜ス!!」
カラオケボックスのドアが開いてゆーじが入って来た。
このゆーじ…歳はりくやリナとタメだが学校は違った。
また本名は裕一と言ったが曾おじいちゃんが某国の大統領のモデル兼タレントに非常に似ている為、リナたちにはゆーじと呼ばれていた。
「「遅かったじゃん!!」」
リナとりくが自分たちの横をそれぞれ一人分同時に空ける。
さっきまで和やかな空気が一転してりくとリナの眼差しがバチバチとぶつかり合う。
イケ面の取り合い…それは二人にとってはいつも事であった。
方や可愛さ売りのリナ。
方やエロさ売りのりく。
勝敗はほぼドローだった。
もちろんバニラも黙ってはいない。
歌い終わったバニラは他の男子の“希”コールの中、りくとリナの対面に腰かけた。
そして今日のバニラには唯一のおしゃれアイテムであるピンク縁の伊達メガネをかけた。
そしてゆーじは結局りくとリナの間に座った。
「ゆーじ…何飲む?」
ニッコリと微笑んだリナがゆーじにもたれ掛かる。
小柄なリナの得意の攻撃だった。
「これ飲む?」
りくが自分のムッチリとした太腿をゆーじの太腿に押し付けながら自分の飲んでいたカシスオレンジをゆーじに進める。
「あの…あの…」
身を乗り出して何か言いかけたバニラだが…りくとリナの鋭い視線に迎撃される。
まぁ…これもいつも事だった。
「わりぃ!俺この後…クラスの奴らと約束があるから」
カラオケボックスでの一時会が終わるとゆーじは颯爽と帰っていってしまった。
「まじ!?」
「うそだろ!」
リナとりく、それにバニラを加えた争いはスコアレスドローっといった結果に終わった。
改めて別の男子を物色しようとした三人であったが他の男子も美味しいトコは他のギャルにガッツリと持っていかれ残っているのは…って感じだった。
「ああ!もう!おまえでいいや!」
自棄を起こしたりくがその中でも僅かにマシと思える男子の腕を掴んだ。
「マジかよ!」
別に羨ましいともズルいとも思っていない様なリナの言葉だった。
「しょうがねぇよ…じゃあな!また明日な!リナ…バニラ」
そうと決めれば早くヤリに行きたい。
基本的には痴女の類のりくはその男子の腕をひっぱて雑踏に紛れていった。
「…たくよ」
呆れた様な笑いを浮かべてりくを見送るリナ。
リナの方がりくより僅かに面喰いだった。
「どうしやス?ナンパでも待ちやスか?」
バニラもりくを見送りながらリナに尋ねた。
「あの〜ぼ…僕たちとカラオケでも…」
残った男子たちがオドオドと話かけてきた。
「「また!カラオケかよ!!」」
そう声を合わせて突っ込んだリナとバニラだったが…結局は一緒に別のカラオケボックスに向かう事となった。