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『武骨くんと鎖骨ちゃん』
【フェチ/マニア 官能小説】

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『武骨くんと鎖骨ちゃん』-6

スニーカーをつっかけて、昼間のグラウンドの方角へ、ぶらぶらと2人で歩く。
明るい月夜で、一応は避暑地だからか、風はひんやりとして気持ちが良かった。

洸太郎とは、ぽつぽつと話すだけだった。
連れ出してくれてありがとう、だとか、
橋島って呼びにくいから李湖って呼んでね?だとか。
その度に、洸太郎からは、「ん。」とか「あぁ。」とかの、短い返事が来るのだ。

昼間は、同じ道でサナが隣にいて、恋バナを聞いたり、気まずい気分だったのを思い出して、李湖は不思議な感じだった。
洸太郎とは、会話はあまり無くても、ゆったりと散歩することができた。
無口な洸太郎は、今では"無愛想"と言うよりは、なんと言うか、"硬派"なイメージだった。

30分ほど歩いただろうか。
グラウンドまで行ってUターンして、宿の手前まで戻って来た時だった。

「あ、ちょっと待って」

洸太郎が、ほどけた靴ヒモを直そうと石垣に片足をかけた。

「もう脱ぐのに、直すんだ?」

くすくす笑いながら李湖は言う。
くるっ、と、美しいちょうちょ結びができた。
洸太郎は、もう片足も石垣にかける。

「モノは大切にする主義なんで」

ぼそっと応える洸太郎に、

「小沢くんて、けっこう指が武骨なわりに、器用だよね?
でも私、小沢くんの指の形、好きかも」

何気無く言った李湖だったが、洸太郎は思いきり動揺し、ちょうちょ結びを失敗してしまった。
慌ててもう一度結びはじめる。

「昼間の練習も見てたけど、すごくコントロール良いんだね。
ウチのサークルの、かなり上位なんじゃない?
相当、器用―…」

無意識に褒めまくっていたことに気付いて、李湖ははっと口をつむぐ。
洸太郎は、石垣に足を掛けた体勢のまま、じっと李湖を見つめていた。

…―あ、れ…なに、この雰囲気…

下からの強い視線に射すくめられて、李湖が答えを出せずにいるうちに、洸太郎が動いた。

ほおに、あの武骨な指が添えられ、絡まった目線が下から上へ…近付いた、と思ったら。

…―!?

李湖は、洸太郎にキスされていた…。


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