常盤高校 柔道部‐外伝‐小さな恋のメロディ-3
「やだなぁ!もぅ…しっかりしてよ!」
美登里ちゃんがきっつい感じで僕を見つめる。
………ん?
「………うちだって…ホントは泣きたいんだよ!」
美登里ちゃんの両方の瞳がみるみる潤み出した。
やっぱ…そうなの?
「み…美登里ちゃん…やっぱり…」
そうだ…やっぱり美登里ちゃんは僕の事を気にかけてるに違いない。
それで…泣き出しちゃったんだ。
僕は熱いモノが込み上げてきて美登里ちゃんを抱きしめたくなった。
手が動きかけた。
その瞬間…美登里ちゃんはスルッと立ち上がりスタスタと二、三歩…僕から離れた。
クルリとこっちを向いた美登里ちゃん。
可愛い顔をクチャクチャにして泣きながら笑っている。
なんて強い子なんだ。
「美登里ちゃん…」
それに比べて僕は…。
「嘘ぴょ〜ん…」
美登里ちゃんが小さく呟いた。
またクルリと背を向けて走りだす美登里ちゃん。
公園の入り口あたりでこっちを振り返った。
「嘘ぴょ〜ん!!」
後退りながら、力の限り僕に向かって叫ぶ美登里ちゃん。
僕は涙に霞む目でいつまでもその姿を追っていた。
外伝‐完‐