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女刑事‐石宮叶那
【OL/お姉さん 官能小説】

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女刑事‐石宮叶那‐2-2

四日が経った。
下手をすれば何らかの処分が下る事を覚悟していた叶那と信吾であったが。
係長はおろか室田ですら二人に何か言ってくる気配はなかった。

「権藤の奴…でかい口叩いておいて結局何も出来ないじゃないですかねぇ」
覆面パトカーの中…。
信吾は気楽な感じで軽口を叩いていた。
「信吾…奴らがこのまま黙っていると思えない。…油断するなよ」
ステアリングを握り締めたまま、叶那は厳しい調子でお気楽な信吾に釘を刺した。
何があっても、この軽薄だけど男らしい男を失う訳にはいかない。
叶那の固い決意の表れであった。

中華料理の店が軒を連ねる下町の一角。
脂ぎった薄汚い裏路地で叶那と信吾は初老の情報屋と接触していた。
若い頃は自らも薬物に手を染めいた。
そのつけで身体を悪くしたこの初老の男を岩さんはよく面倒を見ていた。
「本当なの?」
叶那は折りたたんだ一万円を初老の男に手渡しながら念を押した。
「お嬢に嘘は言わねぇよ」
初老の男は開いているのか閉じているのか判らない目を叶那の方に向けると鼻をすすって見せた。
確かにこの初老の情報屋。
岩さんの殉職後も叶那をお嬢と慕い。
正確な情報だけを叶那にもたらしてきた。
「判ったわ…寒くなってきたけど…身体に気をつけてね」
叶那は信吾が嫉妬すら覚える様な優しい微笑みを初老の情報屋に向けると更に千円札を二、三枚手渡した。

「しかし本当なんですかねぇ…あのじいさんの話」
覆面パトカーに戻ると信吾が不満げに口をトンガラかした。
「おじいちゃん自体がガセネタを掴まされていない限りは本当よ」
叶那はニッコリと信吾に笑いかける。
「でも…叶那さん…あのじいさんに優しくし過ぎですよ」
信吾はまだ初老の情報屋への不満を口にしている。
「うっ!」
不満を口にしたばかりの信吾の唇に不意に叶那の唇が重なる。
口先だけの可愛いキスではなかった。
「ん…ふん…んん…」
ねっとりと貪り合う様な濃厚な口づけ。
意表を突かれた形の信吾だったが…ゆっくり優しく叶那の両肩を抱き締める。
唇をそっと離した叶那が信吾の顔のすぐ前で熱い眼差しで見上げてくる。
「まだ…足りない?」
それは確認していると言うよりも催促している様だった。
信吾は子供の様な微笑みを浮かべながら目の端でホテルの方をチラリと見る。
「寄ってく?」
信吾はわざと素っ気なく叶那に尋ねる。
「寄りたいんでしょ…」
頬を赤らめた叶那が目を臥せて囁く。
始終、張り詰めている二人…僅かにやすらぎを覚える瞬間であった。

部屋に入った瞬間。
瞬時に緊張の糸をひもといた二人は。
刑事からただの男と女に変わっていた。
「信吾…」
叶那が満面の笑みを浮かべて…まるで負ぶさる様な形で正面から信吾に抱きついた。
その顔は普段の叶那が絶対に見せない表情をしている。


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