第4章-10
「キャ――ッ!」
お客さんの悲鳴が上がります。
「あーあ。こりゃ、お仕置きだな」
「そうだな。お仕置きだ」
山田さんがお父さんとかけ合いのように言うと、山田さんはいきなり私のお尻を鞭で打ちました。
「ぎゃー! 痛――い!」
もう一度。
バチィィィン!
「いやぁぁ――!」
その痛さといったら半端じゃありません。
この痛みが気持ちいいという人がいるなら、その人は痛覚がどうかしているのでしょう。
スパンキングは特殊な人のものなのです。
私に耐えられるはずがないのです。
「オシッコしたらダメだと言っただろ?」
「いやぁ、痛い――っ! お願い、ぶたないでぇ――!!」
「勘違いするな。これはお仕置きなんだから」
今度は背中へ、
バチ――ン!
「グギャ――!!」
「ギャーギャーうるさいんだよ」
「ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……」
「反省してるか?」
「もうしません。ごめんなさい」
バチィィィン!!
「くぅぅう!」
「うっ!」
「あっ」
縄が打ち下ろされる度、私はうめきました。
いつの間にか顔には脂汗が滲んでいました。
鞭で打たれた跡がジンジンと熱くなります。
山田さんは赤くて大きなローソクを手に持ち、火をつけました。
私へ見せつけるように差し出します。
目の前で炎が怪しく揺らめき、私は恐怖におののきました。
「い、いや……やめて……」
山田さんが私の願いを聞き入れてくれるはずがありません。
山田さんは真性のサディストなんですから。
背中やお尻に蝋が垂らされていきました。
「ぐぅぅ……」
「あふっ!」
わめけば、またぶたれます。
だから、奥歯をかみしめて耐えました。
汗の量が半端じゃなく、あごの先から、鼻の先から、滴り落ちました。
肌に赤いロウソクの斑点がどんどん増えていき、やがてそれは模様となりました。