Crimson in the Darkness -離別-(side;lee)T-3
おれはアークの……
「血を吸ったよね? 一度だけだけど」
「…………うん」
それにリアナは知ってるから嘘を吐いても駄目だ。そう感じて、おれは俯いた。それに正しいことをしたわけじゃない。責められても仕方がないコトをしたと思う。
「助けたかったんだね。血は吸うなって母親の最期の言葉に逆らってまで」
「!」
何で知って? あそこには誰も居なかった筈なのに。思わず顔を上げた。
すると、少し悲しそうにしてるリアナが目に入った。
「ごめんね。勝手に“視”ちゃって。……でも、それが間違ったコトだってリーちゃんが思ってないなら、それは正しいことなんだよ。アークさんを助けたかったんでしょう?」
「…………うん」
おれの頭を撫でていたリアナの手が次は頬を撫でた。それが凄く温かくて、寂しくなる。
あの頃のお母さんの手みたい。
「……ホントに……リーちゃんは危ない子だよね。こんな世界じゃ、君みたいな子は直ぐに傷ついちゃうんだから」
優しく撫でてくれるリアナの手がスッと離れた。それが余計に寂しくなって、リアナの顔を見ると一点をじっと眺めていて動かない。流されるように彼女が向いてる方をおれも見た。
いつの間にか扉は開いてて、そこには知らない金髪の男の人と―――アークがいた。