過ぎ行く日々、色褪せない想い-42
彼女の部屋からは、自分の部屋が見える。
この角度で彼女は一体なにを思っていたのだろうか?
年上の男に憧れ、想いを秘め、いずれ……。
それがあの男の手口であったとして、事実は変わらない。
彼女は彼と身体を重ねている。
見たくない事実は彼にもある。
その点では彼もまた被害者。
幼馴染の恋を知らないままに失恋し、別の恋を探せたのなら、きっと癒える傷しかつかないのだから……。
もちろんそれが弱さゆえの逃げとも知っている。けれど、彼はそれほど強い人間でないと自覚している。
だから……。
机の引出からピンク色のノートが見えた。
それは日記帳とあり、拍子には今年の西暦と桜の花びらが書かれている。
他人のプライバシーなのだからと、悠は戻そうとした。
しかし、気になる。
彼の知らない時、カーテンの奥で何が行われていたのか?
知るべきではないのに、なのに、悠はそれを……。
4/12
今日から日記を書き始めるぞ。おー!
三日坊主にならないように、三日ごとに書くぞ!
始業式はめんどいわぁ〜。
なんかクラス替えっていうか、進路別になって、友達とも別れ別れ。
そんなわけで、ウチ、へこんでます……。トホホ。
4/25
最近は友達も増えてきたし、順調順調!
んでも、なんでメールくれんのかなぁ……。
悠のアホ、ブラインド閉めて何してるんだか?
まぁ、年頃だし、窓を開けたらウチみたいな美少女がいるんだし、しょうがないかな。
あんまりこなすとアホになるっていうけど、たいがいにしときーな? (←少しお姉さん風に)
5/2
最悪やわ〜。
明日悠の新人戦なのに、どうしておいちゃん倒れるかな〜。
まぁしょうがないか。悠にはメールでもいれとこ。
次は必ず見に行くから、泣かないでね、イイコイイコっと……。
5/23
進路かぁ……。
来年のことってのはたしかだけど、でも、ウチあんまりそういうの、考えてないなぁ〜。(←自分のことなのに!)
悠はどうするんだろ?
聞いてみようかな?
俺のところに永久就職しろとか言われたらどうしようね?
6/7
悠のアホ、あそこまで冷血人間だとはおもわんかったわ。
なにが『美琴の人生なんだし、自分でしっかり決めろよ』よ。
昔はウチのことお嫁さんにしてあげるとかいってたくせに……。
それだけ大人になったってことなのかな?
それはそれで寂しいわ〜。
6/25
悠の言うことももっともかな……。
ウチの人生やし、それに、いつまでも仲の良いお向かいさんってわけにはいかないよね。
悠のことだし、いつかは地元を離れるかもしれないし、ウチだって再来年のことはわからない。
遠距離とかいややし、これからはウチも自立しないといかんわ……。
けど寂しいなぁ……。