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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-39

 制服のままの彼女のスカートが靡くたびに、嫌な気持ちになる悠は、彼女を追うようにブランコに走ると、経ち漕ぎでぐんぐんとスピードを出す。
「おお、ずるいぞ、悠!」
「なにがズルイだよ。自分でこげっつの」
 勢いをつける悠の頬をつめたい風が撫でる。すると、突然涙がこぼれる。
 あの時、和子がそっと温めてくれたとき、純粋に嬉しかったかもしれない。
 もしくはただのスケベ心を隠すためのことなのか、とにかく、悠は人恋しくなっていた。
「ん?」
 それは彼女も同じらしく、いつの間にか振り子を止めたブランコは、彼女を乗せたまま、揺れていた。
「美琴?」
「ん……何?」
「泣いてる?」
「少し……」
「そっか……」
「うん」
「いいさ、悔しいだろうし……」
「悠は悔しい?」
「ああ、悔しい」
「何が悔しい?」
「そりゃ、いろいろさ……」
「いろいろじゃわからない……」
「いいだろ。なんかまだ整理ついてないし……」
「そうだよね……」
「ああ」
「あーあ、私また家庭教師を探さなきゃ……」
「ああ」
「今度は女の人にするね」
「ぜひ」
「でも、悠はダメだよ。塾か予備校に通ってね」
「なんだよそれ……」
「いいじゃん」
「はいはい」
「……」
「はぁあ……」
「ほんと言うとね……」
「ああ」
「牧夫のこと好きだった」
「ああ……」
「だから、ちょっぴりうらんでるの。悠のことも、和子さんのことも……」
「そっか……」
「牧夫と一緒の楽しいひと時。あの人、しゃべるのとか楽しいし、大人びてたし、そういう人って周りにいないんだよね。どうしてだろうね? そういうのに弱いのかな?」
「しょうがないさ」
「本当、憧れと好きっていう気持ちを全部ごっちゃにして、多分、でも、好きだったの」
「わかったよ……」
「でね、あいつが私のこと、そういう目でしか見てなかったってわかったとき、すごく悔しかったの。わかるでしょ? だって、両想いだと思ってたのに、ただの遊び相手の都合の良い女……んーん、商品の一つみたいだしね……」
「そんなこと……もういいさ」
「そういう現実、知りたくなかったの。ずっとこのままで、騙され続けられたら、そのほうが楽しいこととか一杯あったのに、楽だろうってさ……」
「違うさ」
「そうだね。違うよ。私、本当にバカだよね。それじゃあいつか終わりが来るのにさ。んーん、現実を生きてないって感じだし、終わるべきことなんだよね」
「そうだ」
「だから、本当はありがとうって言わないといけないの。けどいえないの……」
「今はそれでもいいさ……」
「でもね、だから、私、なんだか……、どうしていいのかわからなくって……、悠のこと、酷いこと言っておいて、謝らないでいて……そんなのいけないのに……」
「もういいさ。お前も騙されていただけだし、これからは男を見る目を上げろってことだ……」
「うん」
「がんばれ」
「うん」
「がんばれ、美琴」
「わかってるわよ」
「がんばれよ、美琴」
「うるさいなぁ、そんなこと言われると余計、惨めになるってば……」
「ごめん。ちょっと苛めたかった」
「なにそれ、酷い……」
「慰めて欲しい?」
「ん〜、それもなんか違う」
「じゃあいいじゃん」
「ぶ〜、そういうのがダメなんだよ。悠は……」
「かもな……」
「うん」
「今度」
「うん?」
「いや、来年だけど、試合ある。だから、その時こそ応援頼む」
「わかった。絶対に行く」


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