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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -出遭-X-6

「? 何ですか?」



『…………隻眼(せきがん)の、魔女』





 搾り出されたヴァンパイアの言葉にリアナは笑いながら頷き、肯定した。





「やっぱりそっちの名で広がっているんですね。仕方ないとは思いますけど。…………さて、どうしますか? 貴方が私に勝てると微塵でも思われるのでしたらお相手致しますが」



『…………クッ! いつか借りは返すぞっ 隻眼の魔女』





 何故か、ヴァンパイアは引き下がった。虚空に溶け込むように姿を消して、この広場から居なくなった。だけど、あのヴァンパイア……消え去る瞬間、オレたちの方を見て笑ったような気がした。





「逃げちゃいましたねー。ま、いいんですけど」





 しかも、リアナはヘラヘラ笑ってオレたちの方へとやってくる。





「いいのかよ。本部の御エライさんに怒られるんじゃねーのか?」



「? 怒られませんよ? 大丈夫、大丈夫」





 そうかよ。オレなら思いっ切り愚痴られるんだけどな。



 そう言えば、リーが一向に静かなままだ。ずっと、オレの手を掴んだまま離さないでいるけど。





「どうした? リー」



「………………」





 俯いたまま、黙り続けるリーの掴んだ手が小さく震えだす。





「さてと、今の問題はこっちの方かな」





 家に来たときの、リーと会った時と同じ笑みを浮かべながら、リアナはまだ収めていなかった銃を静かにリーの頭部に向けた。


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